東京オリパラに関する総括はどうした:何を検証すべきか(4/5 ページ)
昨夏のコロナ過の最中に行われ、議論を呼んだ東京オリンピック・パラリンピック。その招致時に企図された狙いの大半はコロナ過もあり脆くも崩れ去ったため、費用対効果の面では見るも無残な結果となった。それも含め、ごまかさずにきちんと総括すべきだ。
一方、東京オリパラ大会に掛かった費用は計画と実績でどれほど違ったのか。立候補ファイルによれば、大会に係る経費(予算)は7340億円(大会組織委員会3013億円、非大会組織委員会4327億円)とされていた。その後何度か予算が追加増額され(この増額の大半はコロナ過とは無縁だ)、2021年12月時点での見通しでは1兆4530億円となると発表されている。
ほとんどの会場で無観客での開催となったため、観客に対する新型コロナ対策費や警備・輸送にかかる費用が少なくなったことや、式典等の簡素化や契約見直しなども進めた結果、1年前の見通しに比べれば2000億円ほど下回る見込みになった。しかし当初予算に比べ倍増したことは「当初予算がいい加減の極みだった」と糾弾されてよい。
最後に、運用面の総括を考えてみよう。この東京大会の運用に関してはどの面を見るかによって天国と地獄ほど評価の開きが出てくる。
まず体制の面では特にリーダー層がずっと安定せず、すったもんだに終始した。2013年9月のIOC総会で東京開催が決定した3か月後の12月、招致の主役の一人である東京都知事・猪瀬直樹氏が徳州会グループからの金銭授受問題で辞任。その後任の舛添要一氏も約2年半後に、政治資金の公私混同問題により辞任。JOCの竹田会長が五輪招致を巡る汚職疑惑を受けて2019年に退任。五輪開催に執念を燃やした安倍晋三氏は1年の延期を宣言した約半年のちに体調悪化を理由に首相を辞任。最後に、大会組織委の森喜朗氏は女性蔑視発言で会長を辞任。よくまぁこれだけ続いたものだ。
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