東京オリパラに関する総括はどうした:何を検証すべきか(5/5 ページ)
昨夏のコロナ過の最中に行われ、議論を呼んだ東京オリンピック・パラリンピック。その招致時に企図された狙いの大半はコロナ過もあり脆くも崩れ去ったため、費用対効果の面では見るも無残な結果となった。それも含め、ごまかさずにきちんと総括すべきだ。
次には、開催前の準備や人選についても様々な不手際が目立った。一旦決まった大会公式エンブレム(佐野研二郎氏デザイン)が盗作疑惑で白紙撤回されたことは多くの人の記憶に残っているだろう。では東京都観光ボランティアのユニフォームが「ダサい」と酷評され見直されたことはご存じだろうか。
2021年に入ると、開閉会式で演出の総合統括役だったクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が出演者の容姿を侮辱するような演出案を出したことを巡り辞任。開催直前ともいえる7月には、開会式作曲担当の小山田圭吾氏が過去に雑誌のインタビューで明かしたいじめ加害に対する批判を受けて辞任。どうも安倍政権と同じような「お友達重視」方針による甘い調査・人選が、このひどいドタバタを生み続けた原因に思えてならない。
一方、ごうごうたる批判の中で開催された大会運営そのものに関しては、むしろ世界に誇れるほどよくできたといえる。北京大会で目立ったような不手際に類するものはほとんどなく、前例のない「バブル方式」のお陰で心配された新型コロナ感染の広がりもなく、かたずを飲んで見守っていた世界のメディアやスポーツ関係者からは称賛や感謝の声が止まなかった。この点、東京都と大会組織委員会、JOCなどのスポーツ組織の各現場の方々、そして各ボランティア関係者の工夫と努力には頭が下がるばかりだ。
こうやって考えてくると、東京オリパラはコロナ過に見舞われるという不運もあったが、関係者、特に現場の懸命な努力により日本という国の面目だけは保たれたが、壮大な計画の大半が思惑外れに終わってしまったと、客観的には言わざるを得ない。せめて残った資産の有効活用だけは何とか進めていただきたいが、札幌への再度の大会招致には否定的にならざるを得ないのではないか。できれば国民全体、せめて北海道道民による投票で民意を尋ねてみるべきだろう。(日沖 博道)
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