日野”緊急会見”から見えた、不正を認識できたはずの「3つのタイミング」:排ガス・燃費データ不正(1/2 ページ)
日野自動車は「不正を認定したのは直近の2022年2月末」と答えたが、多くの疑問が残る。より早く不正を把握し、公表できるタイミングはなかったのか。日野自動車が説明する不正の把握に至るまでの経緯をまとめた。
不正の事実はいつから把握していたのか――。排ガス・燃費データの不正行為が発覚した日野自動車が3月4日開いた緊急記者会見。出席した同社の小木曽聡社長と下義生会長は「不正を認定したのは直近の2022年2月末」と答えたが、多くの疑問が残る。それ以前に把握し、公表できるタイミングはなかったのか。日野自動車が説明する、不正の把握に至るまでの経緯を時系列でまとめた。
16年――三菱自・スズキの燃費不正が発覚
16年、三菱自動車が燃費測定データを実際よりも良い数値に改ざんする不正が発覚した。これを受けて国土交通省は各自動車メーカーに同様の調査を指示。その結果、スズキでも燃費データ不正の事実が明るみとなった。
この時、日野も社内調査を実施したが、「不正なし」との報告を提出した。
この時の調査は十分だったのだろうか。下会長は会見で、「この際の調査で今回の不正を発見できなかったのは、会社として大変大きな問題と認識している」と反省の弁を述べた。
18年11月――社員が車両用エンジンの問題を発見
日野が今回の不正発覚に至る最初の契機として説明したのが、18年11月、社員の一人が、北米向けの車両用エンジンで、排出ガスの認証に関する問題に気づいたことだった。米国の法規と照らし合わせて、同社の認証ステップに不具合がある可能性が浮上し、外部弁護士の主導のもと、自主的に調査を開始。
この問題を受け、日野は念のために国内向け車両用エンジンの総点検も実施。北米向け車両エンジンの調査と並行で点検を進めてきたという。
国内向け車両エンジンの性能を確認する劣化耐久の再試験を開始したのは21年4月。劣化耐久試験には中型エンジンで7カ月、大型エンジンで9カ月の時間を要したという。
小木曽社長は「さまざまな調査にも、劣化耐久試験にも時間がかかったため、結果として今回の問題が明確になったのは、22年2月末になった」と語った。
日野が過去に遡って調査した結果、現時点で、16年分までにリリースされたエンジンで不正があった事実を把握しているという。それ以前の不正は現在調査中という。
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