ホリエモン自ら会社説明 宇宙ベンチャーISTが求める人材と新時代の働き方:エンジニアが舞台裏語る(1/5 ページ)
北海道大樹町に本社を置く宇宙開発ベンチャー、インターステラテクノロジズは、人材を集めるべく、三大都市圏で会社説明会を開いた。稲川貴大社長や、ファウンダーの堀江貴文氏をはじめ、同社の主要開発スタッフ5人が登壇。2021年7月の2回連続ロケット打ち上げ成功の舞台裏が明かされた。
生まれ続けるベンチャー企業。ベンチャー企業はその成長速度が投資家にとっての魅力となるため、軌道に乗るまで拡大路線を続けていくことが多い。一方で、常に抱える問題がある。その拡大規模に見合った人材の確保だ。
北海道大樹町に本社を置く宇宙開発ベンチャー、インターステラテクノロジズ(IST)も、その悩みを抱える企業の一つだ。同社はホリエモンこと堀江貴文氏がファウンダーとなり、日本初の民間による人工衛星打ち上げを目指し、研究を続けている。
既に人工衛星を乗せるロケットの開発まで順調に進んでいて、2021年7月には2回連続でロケットを打ち上げ、宇宙空間の到達に成功している。現時点で日本の民間企業でロケットの打ち上げができる企業はISTの他になく、他社の追随を許さない立場を築いている。
だが、ISTが抱える課題は尽きない。既に7回の打ち上げを実施している観測ロケット「MOMO(モモ)」は、約1年の全面改良を経た後の2回の打ち上げで2回とも成功、量産体制に入りつつある。現在は人工衛星搭載可能なロケットの開発を本格化させている。
MOMOは全長10.1メートル、直径50センチ、総質量約1.2トンの大きさ。それに対し、現在開発が進められている人工衛星搭載可能なロケットは「ZERO(ゼロ)」と名付けられ、全長24メートル、直径1.7メートル、総質量は約30トンにもなる。このロケットに超小型人工衛星を搭載し、民間企業でも6億円以内というコストで衛星を打ち上げられる未来を描く。
ZEROは質量比でMOMOの約30倍。日本初の民間人工衛星を打ち上げるべく、ここからが開発の真骨頂といえる局面に突入した。ISTは19年の時点で20人だったメンバーが80人へと4倍以上まで増えた。それでも堀江氏は「まだまだ人材が足りていない。ロケットや宇宙というと特別な仕事だと思われがちだが、実はカメラなどのモノを実際に作る仕事と、それほどの違いがないことをもっと知ってほしい」と打ち明ける。
そこでISTは人材を集めるべく、東京・大阪・名古屋の三大都市圏(コロナのため大阪と名古屋はオンラインでの開催)で会社説明会を開いた。採用職種は主にエンジニアだ。ひとえにエンジニアといっても、ロケット開発からそのパーツを造形するための旋盤工や製缶工まで多岐にわたる。新卒、既卒の別にとらわれず、幅広い年代から募集をしている。
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