対露制裁で「1ルーブル=1円以下」続く ウクライナ情勢長期化、日本経済への影響は?:専門家に聞く(1/2 ページ)
米国やEUを中心とした欧米諸国がロシアに課した経済制裁の影響で、同国通貨「ルーブル」のレートが急激に下落し、「1ルーブル=1円以下」の状況が続いている。日本経済への影響度合いを専門家に聞いた。
「ついにルーブルが1円を切った」――こんなツイートがTwitterで話題になっている。「ルーブル」とはロシアの通貨のことだ。ウクライナに軍事侵攻したロシアに対して、米国やEUを中心とした欧米諸国が経済制裁を課し、ルーブルの貨幣価値が急激に下落。3月9日のルーブルの終値は「1ルーブル=0.89円」で、3月3日から4営業日連続で1円以下の状況が続いている。
こうした状況は日本経済や、企業活動にどんな影響を与えるのか。外国為替の市場動向に詳しい、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストに話を聞いた。
外貨凍結で「為替介入」できないロシア中央銀
現在、ドル高ルーブル安が進んでいる。なぜルーブルのレートが下がっているのだろうか。市川氏は直接の原因について「西側諸国のロシアに対する経済制裁が原因」と指摘する。制裁の中でも、ロシアに特にダメージを与えているのが、ロシア中央銀行が保有する外貨準備の凍結だという。
野村総合研究所のレポートによると、ロシア中央銀が保有する外貨準備は、約6300億ドル(日本円で約73兆円、2021年末)。ロシアのGDP(国内総生産)の4割に相当し、これは世界で5番目の規模だという。
通常、自国通貨の為替レートが下がり続けた場合、各国の中央銀行が自国通貨を購入し、外貨を売る「為替介入」を行う。ただ、今回のロシアの場合、各主要国の経済制裁で、約6割(約43兆8000億円)の外貨準備が凍結されたとみられ、これまで通りの為替介入ができない。
ロシアは14年のクリミア半島への軍事侵攻時にも、各国から経済制裁を受けているが、為替レートは1ルーブル=2〜3円で推移しており、1円を下回ることはなかった。それだけ、今回の経済制裁が強力だということの証左といえるだろう。
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