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「甘い」が8割を占める紅茶市場で、「甘くない」午後の紅茶の新商品 商機はあるのか?担当者に聞いてみた

キリンビバレッジは、4月5日に「キリン 午後の紅茶」から新商品「キリン 午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を全国にて発売する。紅茶市場は「甘い」商品が8割を占めるという。そんな中で微糖商品は生き残れるのか? 担当者に聞いてみたところ……

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 キリンビバレッジは、4月5日に「キリン 午後の紅茶」から新商品「キリン 午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を全国にて発売する。紅茶市場の活性化につながる商品と位置付ける。


キリンビバレッジは「キリン 午後の紅茶」から「キリン 午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を発売する(画像:発表資料より)

 同商品は、「キリン 午後の紅茶 ミルクティー」と比較してミルク分と茶葉を1.2倍使用。程よい甘さとスッキリとした味わいが特徴の「甘すぎない商品」だ。

 しかし、同社によると、無糖・微糖が紅茶市場で占める割合は「2割程度」だという。甘さが強い有糖ミルクティーが市場をけん引している状態が続いているのであれば、「微糖商品は紅茶市場で生き残れるのか?」という疑問が残る。

 どのような戦略があるのだろうか。同社のマーケティング部 ブランドマネージャーの加藤麻里子氏は「清涼飲料、紅茶飲料市場における糖・カロリー忌避意識」に注目する。


マーケティング部 ブランドマネージャーの加藤麻里子氏(画像:キリンビバレッジ提供)

 同社の調査によると、「午後の紅茶」シリーズのメインターゲットである30〜40代女性の約4割が糖やカロリーの摂取を意識しているという。また、糖やカロリー摂取意識を性年代別に分類したところ、30代からカロリーや甘さへの忌避意識が高まることも分かった。

 加えて、コロナ禍で高まった健康志向が紅茶飲料市場だけでなく、清涼飲料市場の無糖・微糖ドリンクの販売も押し上げているという。同社が2021年に販売した「午後の紅茶」の無糖・微糖ドリンクの合計販売数量は18年比で約7倍に伸長している。


清涼飲料における糖・カロリー忌避意識(画像:発表資料より)

 同社の無糖・微糖の販売数をけん引してきたのは19年に発売した「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」。発売約7カ月で5000万本を売り上げ、午後の紅茶としては9年ぶりのヒット商品となった。30〜50代女性の「甘くない自分たち向けのミルクティー」として評価されただけでなく、紅茶カテゴリー外からの流入もあり、紅茶市場全体の活性化につながった。


「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」は発売約7カ月で5000万本売り上げたが……(画像:発表資料より)

 発売時の反響は大きかったものの、「甘くないのがちょうどいい」と考える消費者の母数が少なく、21年に購入率は大幅に低下した。また、19年以降、競合各社から新形状の紅茶新商品の販売が相次ぎ、競争環境の激化も影響したという。

 「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」の一時的な盛り上がりや有糖ミルクティーの優勢を考えると、無糖・微糖市場の拡大は難しいように思える。しかし、同社は「微糖ミルクティーを進化させ、将来の成長源として育成」する方針を力強く打ち出す。

 同社の調査によると、微糖ミルクティーの飲用意向を飲料カテゴリー別で比較したところ、缶コーヒー、ペットコーヒーに次いで3位だったという。また、コロナ禍で消費者は買い物に「コスパ」「贅沢感」という二極化した要素を求めていることが分かった。


「キリン 午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を将来の成長源として位置付ける(画像:発表資料より)

 そこで「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」のリプレイス商品として、「キリン 午後の紅茶 ミルクティー 微糖」を開発した。贅沢な味わいなのにカロリーは通常の半分という点が特徴だ。カロリーオフの実現のため、ミルクや糖の使用量を制限しながら飲みごたえ不足を解消することが課題だったという。

 同社は紅茶市場について「19年のタピオカブームによって異常値を記録した。しかし、他社の参入やコロナ禍での手淹れ飲料への移行の影響で2年連続苦戦している状況。一方で、長期トレンドでは上昇傾向であり、22年以降も伸長が見込まれる」と分析。

 中でも、無糖・微糖カテゴリーが市場をけん引するとコメントし、新商品の可能性を打ち出した。さまざまな新商品が誕生する中で、生き残れるか。ヒットまでの道は「甘くない」だろう。


2年ほど苦戦を強いられた紅茶市場(画像:発表資料より)

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