キリンビールの「本麒麟」が好調 敏腕マーケターに聞く「売れ続ける理由」:酒税改正を見据えて(1/5 ページ)
キリンビールのビール類の販売量が減っている中、気を吐いているのが新ジャンル(第3のビール)の「本麒麟」だ。マーケティング本部の松村孝弘ブランドマネージャーに開発コンセプトを聞いた。
キリンビールが発表した2021年のビール類の実績によると、ビール類の販売量は前年比4.1%減の157万1000キロリットルだった。そんな中で気を吐いているのが18年に発売した新ジャンル(第3のビール)の「本麒麟」だ。
3月にリニューアルした本麒麟の新CMの発表会がタレントのタモリ、女優の杏のほか、國村隼、高畑充希、滝藤賢一を迎えて開催された(敬称略)。マーケティング本部の松村孝弘ブランドマネージャーに開発コンセプトを聞いた。
タモリ流「3度注ぎ」を披露
「こういう新CMの発表会は初めてなので緊張とともに光栄だなぁと思っています。CMの撮影では(スタッフから)本当に1杯だけですからといわれて『自信あるんやな』と思ったんですが、本当においしかったですね」
記者発表会では新たにCMキャストに加わった國村が、起用された喜びを話した。その後、スペシャルゲストとしてタモリが登場すると、杏が以前、タモリに教えてもらったという「3度注ぎ」の披露をリクエストした。
タモリは「皆さんやっていることで、私が開発したわけではないんですけどね……ちょっとしたコツがあります」と実践を始める。
「グラスは冷凍庫で冷やしておきます。本麒麟を注ぎ始めたあと上に缶をあげます」とゆっくり話す。グラス内は、ほとんどが泡になったあと、徐々に本麒麟の量が増えていき、全体の半分くらいまで泡がなくなると2度目を注いだ。
「ゆっくり、ゆっくり注いでください」と、タモリは泡がグラスの上に届くまで注ぐ。そして、しばらく待ってから3度目を注ぎ始めた。「次はコップの上を超えて泡が盛り上がってきますが、こぼれません」という。
待っている時間は長く感じたものの、タモリは「期待が高まるんです。僕は毎回やっています。待っています。味が全然違うから」と、登壇者と報道陣に自信を持って勧めた。
國村隼「お酒は人間関係の潤滑油」
今や日本で一番忙しい俳優の1人ともいえる名優・國村隼に、CM出演のオファーを受けたときの気持ちを聞くと、「基本、お酒は好きですし、ありがたいことで」と笑う。「普段はビール類を飲みますか?」と聞くと、「スターターとして絶対ですね(笑)。あとは焼酎、日本酒です。焼酎はクセのある芋焼酎です」と、酒全般が好きなようだ。
コロナ禍で飲む機会は減っているものの、日本独特の文化「飲みニケーション」については「スタッフの方とのコミュニケーションに大切ですよね。食事もそうですけど、そこにお酒があると、それまでよりも関係がぐっと縮まるんです」と、酒の効用を語る。
タモリが見せた3度注ぎの感想を聞くと「味が変わりますよ。泡も味の1つで、少し面倒かもしれませんけど、実践する価値はホントにあると思います」と話した。
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