キリンビールの「本麒麟」が好調 敏腕マーケターに聞く「売れ続ける理由」:酒税改正を見据えて(5/5 ページ)
キリンビールのビール類の販売量が減っている中、気を吐いているのが新ジャンル(第3のビール)の「本麒麟」だ。マーケティング本部の松村孝弘ブランドマネージャーに開発コンセプトを聞いた。
ビール業界の競争を勝ち抜くヒント
先の國村へのインタビューでは「俳優人生の中でチャレンジングだったと思う瞬間はいつか」と聞くと、こう教えてくれた。「僕にとって2作目の映画が『ブラック・レイン』でした。映画製作のことをあまり知らないままハリウッドのシステムに入って演じたわけですが、初めて『これがアガるということか』と感じました。そして緊張すると視界が狭くなるものなんだ」と。
國村は他の俳優と比べても外国映画に出演する割合が高い。どのように良い演技をしようとしているのかと聞くと「『海外だから』というのはないんです。言葉の違いはもちろんありますが、映画を作ること自体は変わっていません。台本という共通の設計図をもらって自分と向き合う時間を持つ。そのあとは俳優として現場でやるべきことはどこでも一緒ですね」と気負いなく、するべきことに集中することが重要と話した。
環境が変わってもやるべきことに愚直に取り組むこと。このスタンスが國村をトップ俳優に押し上げた。この姿勢はビール業界の競争を勝ち抜くうえでもヒントになるかもしれない。挑戦と、愚直な取り組みを続けたプレイヤーが生き残っていく。
市場環境として、ビールと新ジャンルの税率改正により、その価格差が縮まることが確定している。
苦さのあるビール類が若者に遠ざけられていることを考えると、ビール類のライバルは甘くて飲みやすいチューハイではないかと松村ブランドマネージャーに聞くと、「広い意味でライバル」だと認めた。しかも人口減少で市場が縮小し、賃金も上がらない。本麒麟自体の売り上げは好調といえども、立ち止まれば失速する要因が周辺環境にはそろっている。
それだけに、本麒麟の開発チームはこれからが腕の見せ所と言えそうだ。
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