宮迫「牛宮城」は成功するか カギを握る“実力者”の正体と、売り上げ「1日100万円」の壁:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)
元「雨上がり決死隊」で、現在はユーチューバーの宮迫博之氏が高級焼き肉店「牛宮城」をオープンした。経営の支援をしているのは、ハンバーガー店などを経営する“実力者”。高級焼き肉店のビジネスモデルを分析する。
焼き肉店のグルメバーガー
本田氏がこれまで心血を注いできたショーグンバーガーは、2017年に富山市の中心部、総曲輪(そうがわ)に1号店をオープン。
この店が軌道に乗り、翌18年には東京進出を果たして、新宿・歌舞伎町に2号店を出店。新宿店は20坪ほどの小さい店舗だが、月商で最高1800万円を達成するヒットとなって、注目されるグルメバーガーのブランドとなった。売り上げの4割はテークアウトやデリバリーが占めている。
「創業30年の富山の老舗焼き肉店が本気で作った、和牛100%のグルメバーガー」が、売りになっている。和牛のすね肉を使い、ゴリゴリとした食感の粗挽きパティを開発。肉感にあふれ、つなぎを使わない「ハンバーガー」を1080円で販売している。
一番人気は、「ダブルチーズバーガー」(1880円)。名物は、迫力ある「トリプルチーズバーガー」(2480円)と、女性の人気が高い「てりやきフォアグラバーガー」(1780円)だ。
高価なイメージがある和牛を、若い人でも手の届く範囲の価格で提供している。また、価値の分かる人にとっては、リーズナブルと思わせる商品である。顧客層は20〜30代が中心で、最近は女性が増えているという。
本田氏によれば「原価率40%」とのこと。「和牛をケチらない。挽き立て。作り置きをしない」を実践。一般に飲食店の原価率は30%といわれるので、良質な食材を使っている。注文を受けてから作り、でき立てが提供されるから満足度が高い。
ガネーシャでは、精肉事業も手掛けている。同社公式Webサイトには、「『和牛一頭買い』と『肉職人による心を込めた手切り』にこだわり、商品開発・カット・オリジナルスペックの加工・小ロット販売などさまざまな業態に対応。和牛パテ・ヴィーガンミートも加工販売可能」と記されている。和牛パテというのは、「ショーグンバーガー」のパテだ。
自ら精肉を行い、肉職人が厳選する和牛を使っているから、和牛100%バーガーをこの価格で出せるのだ。 バンズ、ソースもオリジナルを開発。ふんわりとしたバンズは国産小麦を100%使っていて、毎日パン職人が店で焼いて提供。また、ソースは和牛の旨味を引き出す「和牛」「オーロラ」「マスタード」と3種類がある。どちらも自家製なので、仕入れコストを削減できている。
21年10月、都内にオープンした渋谷店は、新しい試みとして、チキンバーガーとフィッシュバーガーも販売。以前からあったポークバーガーも合わせて、肉の種類が選べるバーガーショップとなっている。ハーフサイズの「おやつバーガー」も3種発売した。チキンバーガーとおやつバーガーは、現在は全店で販売されている。
また、渋谷店限定の「香茸(コウタケ)と3種のキノコクリームバーガー」は、松茸より香りが高いとまでいわれる「香茸」、舞茸、シメジ、椎茸を甘辛みそでソテー。それをゴーダチーズを溶かした和牛パテに乗せ、その上からジャガイモ、生クリーム、香茸の風味を入れたオリジナルクリームをケーキのように乗せた、非常に個性的な新感覚の商品だ。
「ショーグンバーガーを都内に10店、全国に残り38店舗を出店したい」と本田氏。
15年にニューヨークから進出し、グルメバーガーという分野を確立した「シェイクシャック」は、東京・神宮外苑に日本1号店を出店。アンガス牛100%のバーガーで人気が高いが、現在は全国に12店(そのうち東京に7店)ある。意外に増えていない感がある。
本田氏の目標は高い。どのような方法で乗り越えるのか、興味深い。
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