お店がやって来た! なぜ移動販売で“高い商品”が売れたのか:「実証実験」の結果(4/4 ページ)
お店がやって来る――。そんな非日常ともいえる“第3の売り場”がじわじわ広がっていることをご存じだろうか。サービス名は「MIKKE!」。三井不動産とグループ会社が始めたところ、想定以上に人気を集めているという。どんなビジネスモデルなのかというと……。
移動販売の「キモ」
ところで、移動販売の最大のキモは何か。「マッチング」である。例えば、10カ所で販売するとしよう。平日の午前と午後、休日の午前と午後を分けると、40パターンのデータが出てくる。場所は豊洲、店はアパレル。この場合、最適な時間は? お客が最も集まる曜日は? どんな商品が人気なのか? こうした情報をどんどん貯めていくことで、店側は効率よく運営することができるようになるし、消費者側は思わず手に取ってしまうアイテムが増えていくかもしれない。
朝にパンを食べたい人は多い。同時にコーヒーを飲む人も多い。こうした店を出店すれば、売り上げは伸びるだろう。では、高価な商品はどうだろうか。カメラ、時計、貴金属といったモノをクルマで販売して、どのくらいの人が購入を検討するのだろうか。先ほどお伝えしたように、人数が少なくてもその中から「どうしようかな」と考える人が出てくる。価格が高いこともあって、買うかどうかの決断を下すのに熟考する人もいるはずだが、その“時間”は、どのくらいなのだろうか。
例えば、先週、家のマンションの敷地内に移動販売のクルマがやって来た。気になる商品を扱っているが、本日の午後、他の場所に移動してしまう。次、そのお店がやって来るのはいつになるのか分からない。こうしたケースで、消費者はどのように考えるだろうか。「じっくり考えてみた結果、やっぱりいらないや」となる人もいれば、「この機会を逃してしまうと、手に入れることができなくなるかも。えーい、買っちゃえ!」という人もいるかもしれない。
そうした気持ちになる商品は何か。その場所で、どのくらいの期間、クルマを停車すればいいのか。「マッチングは商品によっても違いますし、地域や年齢などによっても違う。たくさんのデータを取得して、もっとももっと分析しなければいけません。そうすると、おもしろいことが待っているかもしれませんね」(後藤さん)
「おもしろいこと」とは何か。その受け止め方は人によって違うだろうが、個人的には冒頭で触れたように、非日常だと思われていた購買体験が“日常”になることだと思っている。その日がやって来るのは、案外早いかもしれない。
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