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コロナ予算77兆円に見識はあったのか:なぜこんな結果に(4/4 ページ)
空前絶後とされた2020年度の補正予算には根本的な謎がある。新型コロナ対策のために「実質的な支出」を倍増させたはずの補正予算がもたらしたものはGDPの大幅な落ち込みだった。なぜこんな結果になってしまったのか。実は必然だったという側面があるのだ。
端的に言えば、申請を行う側にとってはあまりに煩雑な手続きのためになかなか申請できないことと、申請を受ける役所側にとっては審査や振り込みなどの手続きに時間が掛かって支給が遅れることが問題としてクローズアップされてきた。
これらはあまりに不正防止に力点が置かれたため、(ただでさえ分かりにくい役所書類がさらに)煩雑な書式になりかつ多くの添付書類を要求したことと、役所側の人手不足およびデジタル化の欠如という「供給体制」に問題があったということの2面を指摘できるだろう。
前者は、GO TOイートや持続化給付金などで不正受給が問題化したので、中央官僚があれもこれもと要求したためと想像できる。しかし不正防止策として書類を煩雑にするのは「下の下」の策である。本人確認(または事業実態確認)の部分をしっかりとした上で、後で確実にトレースできることと罰則を重くすることで不正のインセンティブをなくすことが重要なのだ。
後者(「供給体制」の問題)については既に色々なところで指摘されているのでここでは割愛する。とはいえ、マイナンバーカードと銀行口座の紐づけは早めに進めておくに限ることは指摘しておきたい(これは前者の不正防止策にも間接的に有効だ)。 (日沖 博道)
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