コロナ予算77兆円に見識はあったのか:なぜこんな結果に(3/4 ページ)
空前絶後とされた2020年度の補正予算には根本的な謎がある。新型コロナ対策のために「実質的な支出」を倍増させたはずの補正予算がもたらしたものはGDPの大幅な落ち込みだった。なぜこんな結果になってしまったのか。実は必然だったという側面があるのだ。
このあと、この繰越金がなぜこれほど巨額になってしまったのかを考えてみよう。
繰越金の発生要因は大きく2つある。一つは、そもそも大して必要でない政策の予算を精査せずに計上したためである。先のNHK特集などで検証されている、「この際だから」的な安易で無駄な予算の計上パターンだ。とにかく「規模ありき」で不要不急の予算を組んでしまったために手を挙げる人が少なくて使い切れなかった、という情けない話だ。
実は政治家の一部には、この種の「繰越金になるであろうことが目に見えている」予算の膨らませ方については、予算規模を大きく見せて国民を安心させるために効果的であり、しかも実際に使われないのだから国家財政が痛まないので「見せ金」的な予算手法だと割り切っている節がある。しかしそうしたやり方は、国家の財政管理と予算計上プロセスに対する信頼性を著しく損なう邪道だと指摘したい。
もう一つの繰越金の発生要因は、(予算自体は必要な政策のためではあるが)実際の執行が遅れてしまい年度内に使い切れなかった、というものだ。この年度の3回目の補正予算が成立したのが2021年の年明け1月末だったので、年度内に使い切ることがそもそも難しかったという側面もある(これもはじめから「見せ金」的な予算手法だったことを示唆するものだ)
繰越金の内訳を分析した資料によると、コロナ過で打撃を受けた企業向けの「実質無利子・無担保融資制度」の6.4兆円を筆頭に、休業要請に応じた飲食店などへの協力金に充てる「地方向け臨時交付金」が3.3兆円、観光支援策「GO TOトラベル」も予算の約半分の1.3兆円、公共事業費も4.6兆円と、巨額の使い残しが目立った。
そのうち感染拡大を避けるために年末に停止したままの「GO TOトラベル」や、コロナ対策とほとんど関係がなさそうな「公共事業費」(こちらは人手不足のせいだろう)は置いといて、「実質無利子・無担保融資制度」や「地方向け臨時交付金」はまさに新型コロナ対策の中核経済政策でもあり、絶対的に必要とされたものだったはずだ。なぜスムーズに執行されなかったのか。
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