百貨店が始めた「高級アパレルサブスク」 1万円超えなのに、申し込みが想定の7倍も殺到したワケ:ピーク時は8カ月待ち(1/3 ページ)
大丸松坂屋百貨店は2021年3月、高級ブランド服のサブスクサービス「AnotherADdress」を発表した。初年度の目標を700%達成したが、実は一度「却下された」ビジネスだった。その理由は? また、なぜ7倍という驚異的な数字を達成できたのだろうか?
「この服、いいじゃん」と思い手に取り、値段を見て驚愕。店員に見つかる前に急いでラックに戻して店を飛び出すという経験をしたことはないだろうか。特に高級アパレルブランドで経験することだと思う。
そんな中、大丸松坂屋百貨店が2021年3月に「Maison Margiela(メゾン マルジェラ)」「See By Chloe(シーバイクロエ)」などの高級ブランド服を1カ月に最大3着レンタルできるサブスクリプションサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」を発表した。
ブランドの取扱数は113で、用意している服は約1万5000着。海外のラグジュアリーブランドから国内ブランドまで幅広く取り扱うほか、届いた服が好みでなかった場合の交換やサイズ変更などにも対応する。服の修繕費や送料込みで月額1万1880円に設定した。
初年度の有料会員目標は1000人。それをベースに仕入計画を立てていたものの、サービス発表から3日で登録者数は約3500人に上った。当時、用意できたのは50ブランド3000着のみ。4月1日のサービス提供開始に向けて「既に在庫が足りない」状況だった。
22年2月時点で登録者数は7000人を突破。服の在庫が足りないため、サービスを利用できる有料会員の案内ができず、現在、サービス利用開始まで1カ月待たなくてはいけないという。ピーク時は最大8カ月待ちで、21年3月に登録しても案内できるのが11月だった。
1万円超えのサブスクは決して安いとはいえない。8カ月も待たされたらさすがに有料会員になってくれないのでは? と心配になるが、初回登録から有料会員への登録率は40%ほどをキープしているという。退会率も月平均0.75%と低い水準だ。
初年度の目標達成率700%という驚異的な数字をたたき出したわけだが、実はアナザーアドレスは「一度は頓挫したビジネス」だった。
そこには、百貨店事業とレンタル事業の相性の悪さを懸念する経営層の意見や、大企業ならでは組織課題があったという。
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