「世界一快適なシューズ」と評価された「Allbirds」 徹底した“環境配慮”の理念に迫る:日本でも展開(3/5 ページ)
Allbirdsは、2016年に米・サンフランシスコで創業した靴のD2Cブランド。20年に東京・原宿への初出店を果たし、同店の売り上げが世界一を達成した。環境配慮に徹底した企業理念が支持されている。
Allbirdsが取り組むサステナビリティの特徴
なぜこのような取り組みを重視しているのでしょうか。蓑輪さんのインタビューの中で象徴的な言葉は下記の5つでした。
(1)孫の世代まで誇れる仕事をする
(2)環境対策だけでは成り立たない。商品ベネフィットとの両立があって真のサステナビリティといえる
(3)ノウハウを出し惜しみせず世界中にオープンにする、それが環境のためでもありマーケット拡大のためでもある
(4)売るだけのお店は限界がある、しかしECにも出来ないことがある。それがStore Experienceである
(5)1番大切なのは“人”。店舗のスタッフの自発性・スタッフ間コミュニケーションを生み出す環境作り
一つずつ解説していきたいと思います。
孫の世代まで誇れる仕事をする
これは2人の創業者の言葉だそうです。同社は、元サッカー・ニュージーランド代表のティム・ブラウン氏と、バイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー氏がタッグを組み創業しました。
全く異なる出自の2人がお互いの価値観と知見を融合させ、「履き心地」「環境配慮」「シンプルなデザイン」を実現しました。2人の理念の根幹には「孫の世代まで誇れる仕事をする」があるそうです。
孫の世代の地球環境に想いを巡らせたとき、安心な暮らしや買い物を持続させるには、小売業としても環境に貢献することが必要です。自分たちの世代だけ、自分たちの業績拡大だけ、という観点ではなく、環境や未来という視点を企業哲学に据える。そのことが孫の世代まで誇れる仕事であるという創業者の想いがAllbirdsの製品には込められています。
環境対策だけでは成り立たない、商品ベネフィットとの両立があって真のサステナビリティといえる
これは全企業が押さえるべきとても大切なポイントです。ビジネスの収益なくして真のサステナビリティとはいえません。収益が伸び悩むことで環境対策のコストを削減せざるを得なくなる企業も多く、そうならないためには、ビジネスとの両立が不可避となります。
旧来はCSRという名のもとに、寄付や植林などを環境対策とする企業が多くありました。しかし、今やそれでは足りません。環境活動と製品開発は分離するものではなく、製品を通じて顧客も環境貢献に参加できる形を、世界中の人が求めるようになりました。
小売企業からすると、これは容易なことではありません。素材の調達、輸送、製品加工、工場・店舗の再生エネルギー活用、製品を使用することでの二次的環境貢献(車に乗らない、焼却時のCO2削減など)といったように、まさにサプライチェーン全般に影響することだからです。Allbirdsはこれを体現している代表的な企業です。店舗には次のような絵が掲示されていました。ここにその内容が分かりやすく描かれています。
通常の靴の小売店であれば、価格や商品分類、コーディネートなどが店頭の訴求内容かと思います。
しかし、Allbirdsでは、素材がいかに環境に優しいか、自社がどのようなエネルギー利用を心掛けているかといったことに焦点を当てた訴求が行われています。それは、靴のひもがどのような素材で作られているかということまで徹底しています。
その他、徳島で活動する藍染師「Watanabe's」の協力により、使い古したスニーカーを藍染めにして、より長く使えるようにしています。また、日本のアーティストのアート作品が展示されています。さまざまなプレーヤーと共に育っていくこのような取り組みも、サステナビリティの一つであるとのことでした。
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