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宇宙ベンチャー「シンスペクティブ」119億円の大型調達:SAR衛星で災害リスク低減めざす
宇宙ベンチャーのシンスペクティブは3月29日、第三者割当増資で新たに119億円の資金を調達したと発表した。
小型SAR衛星の開発・運営を手掛ける宇宙ベンチャー「Synspective(シンスペクティブ)」(東京都江東区)は3月29日、第三者割当増資で新たに119億円の資金を調達したと発表した。
出資したのは、損保ジャパンや森トラスト、シンガポールの投資運用会社パビリオンキャピタルなど国内外の15社と、融資が2社。今回の調達により、シンスペクティブの累計調達額は228億円になった。
成長産業を支援するフォースタートアップスが1月に発表した国内スタートアップの「2021年度 資金調達金額ランキング」によると、21年1〜12月に100億円以上の資金を調達した国内スタートアップ企業は8社。これと比較しても、今回の119億円の調達は有数の規模となる。
シンスペクティブは、18年2月に設立。夜間や悪天候でも地表を観測することができるSAR衛星の小型化に強みを持つ。3月1日には同社2基目となる小型SAR衛星「StriX-β(ストリクス・ベータ)」の打ち上げに成功。26年前後にはSAR衛星を30基体制にし、地球全体を高頻度で観測することで災害リスクの低減などを目指している。
同社は資金調達をもとに、小型SAR衛星の開発・製造や量産施設の準備、衛星データソリューションの開発など事業拡大に生かす方針。新井元行最高経営責任者(CEO)は「SAR衛星30基体制の構築とデータ解析技術を一層加速させ、持続可能な未来の実現にまい進する」とコメントしている。
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