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3割減収でも最高益のファーウェイ、切り札は300人の「天才少年」と3兆円の研究開発投資:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/6 ページ)
2019年に米国に輸出規制を発動され、「生存」が最重要ミッションとなったファーウェイが21年決算を発表した。売上高は前年比28.6%減だが、純利益は同75.9%増で過去最高。カナダで3年近く軟禁生活を経た孟晩舟副会長が、4年ぶりに決算会見に出席し、最悪期を脱したことを示唆した。
Honorの売却で過去最高益
ファーウェイの売上高は17年の水準まで一気に落ちた。米国の輸出規制で高性能半導体の調達を絶たれ、スマートフォン生産が難しくなったことが原因だ。19年まで世界2位、20年は3位だったシェアは、21年にトップ5から陥落した。
スマートフォンなど消費者向けの端末を手掛けるコンシューマー事業の売り上げは前年比49.6%減の2434億元(約4兆7000億円)。スマートウェアラブルとスマートスクリーンの販売は同3割伸びたが、スマートフォン事業の地滑りを埋めるには至らなかった。
キャリア向けの通信事業の売上高は同7.0%減の2815億元(約5兆4000億円)。中国での5G基地局建設が2020年で一服し、需要が落ち着いたという。
規制後特に力を入れている法人事業は同2.1%増の1024億元(約2兆円)だった。
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