東証、60年ぶりに市場再編 「プライム」など3市場に、狙いは?:“東証1部”は死語に(2/2 ページ)
東京証券取引所は株式市場を再編し、新たな市場区分での取引を始めた。これまで大企業向けの「東証1部」などを「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。各市場の特徴を明確にすることで、海外からの投資拡大を促す狙いがある。
松野博一官房長官は同日の記者会見で「新区分への移行が、上場企業の持続的な企業価値の向上につながり、国内外の投資家にとってこれまで以上に魅力的な市場となることを期待する」とコメントするなど、政府も東証の市場再編に期待を寄せる。
ただ、政府や東証の期待とは裏腹に、東証1部の企業の大半がプライムに移行し、企業の顔ぶれがほとんど変わっていない。東証は旧市場区分での経過措置も適用しており、明確な期間も設けていないため、市場再編の効果がどの程度あるかは現時点で未定だ。
NHKの報道によると、上場企業の発行する株式数と株価を掛け合わせた取引所全体の時価総額は、東証が約6兆1000億ドル(2月末時点)。これに対し、世界トップのニューヨーク証券取引所は約26兆1000億ドル(同)で、上海証券取引所は約7兆8000億ドル(同)で東京を上回っているほか、香港の取引所は5兆2000億ドル余りと、アジアの各市場が猛追している状況だという。
日本初の銀行の創業などを手掛け「日本の資本主義の父」とも称される実業家の渋沢栄一は、英国の東インド会社などを参考に、資本の株式所有による分散所有化を提唱し、1878年に東京株式取引所を設立。現在の東証の前身となった。
財務省は、渋沢栄一を描いた新1万円札の24年度流通開始に向け、22年度から製造を本格化させる。奇しくも、東証の前身組織設立に尽力した人物を描いた新紙幣発行と同じ年なった東証の市場再編は、日本経済再興のきっかけとなるだろうか。
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