白樺は白ワインみたいな味? 「木で造る酒」の商品化に向けた取り組みが熱い:桜の木は“ピンク色”の酒に(4/4 ページ)
日本で全く新しい酒の種類が生まれつつあることをご存じだろうか。それが、木材を原料にした「木の酒」だ。その香りや味はというと……。
「木の酒」で中山間地域の活性化も!?
木の酒には、お酒としての楽しめる価値だけでなく、地方創生につながる要素も多分に含まれている。目立った特産品がなく、衰退している中山間地域でも、その地産材を使用して「木の酒」を造れば、新しい名産になるかもしれない。
大塚氏は「木は、1人前になるまでに最低でも60年以上が必要です。そうした“時間”という付加価値をつけるのはもちろん、各地にある木材はその土地特有の個性を持ちます。それがブランドになり、地域活性化につながると考えます」と力を込める。
木材メーカーや、製材所の近くに「木の酒」の蒸留所を建設すれば、今まで廃棄していた端材を、そのまま酒の原料として使用できる。その土地で不要な木材を減らしつつ、雇用の創出にもつながりそうだ。
林業による地域活性化の可能性を秘めた「木の酒」。まずはエシカル・スピリッツが造る第一弾の酒はどのような風味になるのか、注目していきたい。
「木の酒」が普通にバーで飲める未来になれば、木材自体の価値観が変容し、木を見るたびに「これうまそうだな」と思ってしまう人が増えるかもしれない。同社の挑戦にはそのような可能性を秘めているのではないか。
著者プロフィール
太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)
1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。
その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。
2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329
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