介護職の買い物代行 8割が「苦労あり」と回答 理由は?:労働環境の改善が急務
プラスは入居者の買い物を代行した経験のある介護施設従業員に「介護施設の買い物代行」に関する調査を行った。入居者の買い物代行で苦労を感じたことが「ある」と答えた割合は、83.7%だった。
仕事に役立つ調査データ:
消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
介護福祉施設向けデリバリーサービス事業を展開するプラス(東京都港区)は、入居者の買い物を代行した経験のある介護施設従業員を対象に、「介護施設の買い物代行」に関する調査を実施した。入居者の買い物代行で苦労を感じたことがあるか聞いたところ、「ある」と答えた割合は「かなりある」「少しある」を合わせて83.7%だった。
「かなりある」は34.6%、「少しある」は49.1%、「あまりない」が12.7%、「全くない」が3.6%という結果であった。
どのような点で苦労を感じる?
苦労を感じたことがあるという従業員に、どのような点で苦労を感じるか聞いた。1位は「買い出しに行く時間がない」で53.2%、2位は「品物の量が多く、運ぶのが大変」で52.2%、3位は「レシートの集計に手間がかかる」で47.8%、4位は「購入してきた品物を入居者ごとに仕分けるのが大変」32.6%、5位は「スタッフの立替が発生する」で31.5%だった。
手間を削減できれば介護の質をもっと上げられる?
買い物代行にかかる時間や手間を削減できれば、介護の質をもっと向上させられると思うか尋ねたところ、「とてもそう思う」が31.8%、「ややそう思う」が46.4%と、合わせて78.2%がそう思うと回答。「そう思わない」と答えた人は、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」合わせて20.0%だった。
介護職員の離職率の高さは以前から問題となっているが、公益財団法人介護労働安定センターが発表した「介護労働実態調査」で、2020年度の訪問介護員と介護職員の離職率は14.9%と、全産業の平均離職率15.6%を下回る結果となった。介護職員処遇改善支援補助金など待遇向上のための施策も増えている中、現場での介護の質改善への取り組みも課題のようだ。
今回の調査は、入居者の買い物を代行した経験のある介護施設の従業員を対象に、インターネットで行った。期間は3月4〜5日、有効回答数は110人。
関連記事
- キッコーマン「密封ボトル」しょうゆ、使い切る裏ワザとは 「ピー」の音に隠された”企業努力”に迫る
キッコーマンのしょうゆ「いつでも新鮮」シリーズ。残り少なくなったしょうゆをボトルから絞り出すことができず、泣く泣く捨てるという利用者の声がSNSで話題に。どうすれば使い切れるのか。 - 「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」家具大手ぬいぐるみ なぜ人気?
「イケアのサメ」に「ニトリのネコ」――。大手家具メーカーの”看板商品”とも言えるぬいぐるみの人気のわけを探る。 - ウクライナが日本に求めるSAR衛星データとは? 雲に覆われた地表も丸裸にする技術に迫る
ウクライナがロシア軍の動向把握を目的に、日本に人工衛星のデータ提供を求めていることが分かった。日本に要請したとされるのが、夜間や悪天候でも地表を観測できる「合成開口レーダー(SAR)」という技術を生かした衛星データだが、一体、どのような技術なのだろうか。 - 「ヤマザキ春のパンまつり」白いお皿を配り続ける狙いは?
山崎製パンが毎年春に開催する「ヤマザキ春のパンまつり」。開催のたびにSNSで話題になるが、今年は皿の素材に注目が集まっている。白い皿を配り続ける同社の狙いは何なのか。 - 台湾の果物「アテモヤ」は日本で商機をつかめるか 越えるべきハードルは?
台湾の「アテモヤ」という果物が2021年末から、日本に輸入されている。マンゴーを凌ぐ高級フルーツとして知られ、別名「森のアイスクリーム」とも称される。21年9月、中国による突然の「輸入禁止」措置を受け、台湾は急きょ、官民連携で日本への販路開拓に乗り出した。果たして、日本市場で商機をつかめるのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.