NEC、次世代ワクチン開発を表明 変異株や他のコロナウイルスにも効果期待:独自のAI技術生かす
NECは新型コロナウイルスのさまざまな変異株や別のコロナウイルスにも効く汎用型の「次世代ワクチン」の開発に着手すると発表した。
ITサービス大手のNEC(東京都港区)は4月8日、新型コロナウイルスのさまざまな変異株や別のコロナウイルスにも効く汎用型の「次世代ワクチン」の開発に着手すると発表した。創薬事業で培ったノウハウや独自の人工知能(AI)技術を生かし、次の世界的流行に備える。
NECが開発に着手する次世代ワクチンは、新型コロナウイルスの変異株や、SARS(サーズ)・MERS(マーズ)など別種のコロナウイルスにも効く汎用型のワクチン。ワクチン開発を支援する国際的枠組み「感染症流行対策イノベーション連合」(CEPI)の資金援助も受け、効果が長期間持続し、世界人口をカバーするワクチンの開発を目指す。
既存の新型コロナワクチンはウイルスの変異で効果が低減するとされ、オミクロン株などの爆発的な感染拡大の一因と指摘されている。早期開発が期待される次世代ワクチンは、現在、米ファイザーや米モデルナ、英グラクソスミスクラインなど世界の製薬大手が開発を加速させている。
NECは創薬事業で培ったノウハウを持つ。20年来の基礎研究を経て、2016年にがん治療用ワクチンの開発を進める新会社「サイトリミック」を設立。19年に創薬事業への本格参入を表明し、仏バイオテクノロジー企業のトランスジーンや米医療ベンチャーのボストンジーンなどと連携。ワクチン候補となる物質を発見するNEC独自のAI技術「免疫機能予測技術」を生かし、がん治療用ワクチンの共同開発・治験を進めている。
今回のコロナウイルス向け次世代ワクチンにも、がん治療用ワクチン開発のノウハウを応用する。CEPIの支援のもと、4月から2年間でワクチン設計や動物実験を行う計画。その後、人への臨床試験を経て、製薬会社と連携し製造へと進めていく方針だ。
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