マンション売却潜在層にリーチ 不動産査定でマネフォがツクルバと組む理由(2/4 ページ)
マネーフォワードが家計簿データを活用した異業種提携を加速させている。20年11月に新電力シン・エナジー(神戸市)と「マネーフォワードでんき」を始め、ライフネット生命とも「マネーフォワードの生命保険」を開始した。そして4月11日には、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームを手掛けるツクルバと組んで、「マネーフォワード 住まい」の提供を開始した。
匿名で査定可能
例えば、査定は個人情報不要の匿名の状態で行える。ネットで査定サービスを使うと、マンションの間取りや広さ、築年数だけでなく、名前や連絡先などの入力を求められるのが普通だ。するとどうなるか。
売却物件を獲得したい不動産会社から連絡が来て、売却しませんか? という話になる。これは既に売却するつもりの人、いわゆる顕在層にとっては良いアプローチだ。しかし、今は売る気はないが、どのくらいの市場価値なのかを知っておきたいという潜在層にとっては煩(わずら)わしい結果になる。
マネーフォワードで本サービスを担当したホームカンパニーHOME本部新規事業部リビングフォワードグループの松山佳代子リーダーは、潜在層とどうつながり続けるかが重要だと話す。「売却潜在層は、連絡を受けても売却は考えていない。そんな人も自分の家の価値を把握しておいてほしい。そのために査定までは個人情報を不要とした」
顕在層に対する売却サービスは各社が取り組んでおり、レッドオーシャンだ。一方で、潜在層とつながり続けてエンゲージを高め、いざ売却となったら使ってもらうという潜在層向けサービスはあまり例がない。
「マネーフォワード 住まい」のサービス開発に携わった、マネーフォワードとツクルバのメンバー。左からツクルバ事業開発担当 cowcamoサプライサイド事業責任者の山田悠太郎執行役員、cowcamoサプライサイド事業部の森勇貴副事業部長、マネーフォワードホームカンパニー HOME本部新規事業部リビングフォワードグループの松山佳代子リーダー、ホームカンパニーCOOの木村友彦執行役員
これは、単なるマンション売却サービスではなく、資産管理サービスとして不動産を取り扱いたいというマネーフォワードの方向性とも合致する。もともと、入金と出金のいわゆる家計簿サービスだったマネーフォワードMEだが、昨今の投資ブームによって株式などの資産総額を管理するツールとして利用するユーザーが増加している。
3月28日には、「資産」タブを新たに設け、資産額の推移グラフや資産種別ごとの金額表示に簡単にアクセスできるよう、アプリを改修している。
不動産は、保有する人にとっては最大の資産だが、これを一元管理できる仕組みの1つが、今回の「マネーフォワード 住まい」だともいえる。
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