“値上げの春”に逆張り ワタミが「焼肉の和民」で仕掛けた「薄利多売」戦略:下げた客単価を客数でカバー(1/4 ページ)
外食チェーンのワタミは3月、「焼肉の和民」の商品価格を全商品429円以下での販売を始めた。同社は値下げをすることで客足を増やし、“薄利多売”の戦略を取ることによって売り上げの拡大を狙おうとしている。
外食チェーンのワタミは3月、「焼肉の和民」の商品価格を全商品429円以下での販売を始めた。焼肉の和民は全国で26店舗を展開していて、4月19日までに新しい料金体系で販売する体制が整った店舗から順次実施していく。
この背景には、ウクライナでの戦争や円安の影響を受け、原材料や原油価格の高騰により消費者心理が冷え込んでいる状況がある。だが、まん延防止措置の全面解除が追い風となり、客足の増加も見込める状況になってきた。そこで同社は値下げをすることで客足を増やし、“薄利多売”の戦略を取ることによって売り上げの拡大を狙おうとしている。
ワタミ史上最大の値下げ
同社の直近の業績を見てみたい。2022年3月期第3四半期(2021年4月〜12月)の国内外食事業において、売上高は前年同期比17.7%減の112億6700万円、営業損失は同71億2500万円の損失から47億1400万円の減収減益だった。ただし、損失幅は減少している。
新型コロナの影響によって営業時間の短縮が売上高に大きな影響を及ぼした。21年1月から22年3月までの営業状況について、同社が開いた記者会見で渡邉美樹会長兼社長は「通常営業できたのは21年10月25日から22年1月20日の約2カ月のみで、まん延防止期間中も最大で150店舗休業していた」と話す。この数字から見ても通常営業ができた期間がほとんどなかったことが分かる。
今回の新戦略の狙い、目的についてワタミは「コロナでコミュニケーションが希薄化したので、外食がコミュニケーションの糧としての役割を果たし、かつ外食の活性化を図る」とした。
「創業38年になるが、商品価格を20%値下げし、全商品429円以下とする。これはワタミ史上最大の値下げとなる」(渡邉会長兼社長)
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