スマホにマイナカード機能搭載、なぜiPhoneは未対応なのか?(2/2 ページ)
マイナンバーカードの機能がスマホに搭載されるようになる。しかし、当初はAndroidのみで、iPhoneはしばらく先になりそうだ。 なぜAndroidだけでiPhoneはまだなのか。
iPhoneで利用するにはiOSの改修が必要
ところがSEを利用するにはOSの機能を使う必要がある。これが「Androidは解放されているが、iOSでは解放されていない」(辻氏)。そのため、iOSでも使えるようにアップルに働きかけている最中だという。
アップルは目算が立たない交渉にはすぐにNGを出す。またスマホ決済の際にも、アップルはSEの解放に極めて慎重だった。しかし交渉は継続しており、前向きに検討が進んでいるというのが関係者の見方だ。一方で、これを実現するにはiOS自体の改修が必要になる。仕様が確定して1年で開発、翌年リリースという流れを考えると、これが実現するのは最速でもその次の秋(23年秋)となる。
スマホにマイナンバー機能が搭載されると、本人認証などにおいて利便性が大幅に高まると期待されている。これまでは、スマホでアプリを立ち上げてマイナンバーカードを読み取り、暗証番号を入力する必要があったが、アプリで顔認証や指紋認証を行うだけで本人認証が完了するからだ。
デジタル庁でマイナンバーカードに関わる国民生活グループの上仮屋尚参事官は「電子証明を使う用途について、すべてスマホで可能になる」と期待する。その上で、やはり重視しているのはセキュリティだ。SEの仕組みもそうだが、そもそもスマホに搭載するのは電子証明書だけ。世間で不安視されることもあるマイナンバー、個人番号はスマホには登録されない。
利便性とセキュリティの最適なバランスを目指した、スマホへの搭載。普及へのカギは、やはりセキュリティ不安をどう払拭できるかだろうか。
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