フィアットの新型EV「500e」 が有望な理由 デザインにポイント: 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)
フィアット初のEVである「500e(チンクエチェント・イー)」が6月25日より日本で発売となります。確信しました。これはヒットすると。なぜ、そう思ったのか。それはデザインがいいから。
人気のデザインをブラッシュアップする欧州の得意技
とはいえ、試乗を通してみれば、とても好印象。そして、確信しました。これはヒットすると。
なぜ、そう思ったのか。それはデザインがいいから。プロポーションの良さは見惚れるほど。インテリアもスッキリとしつつ、モダンでスタイリッシュです。飛び道具のような新機能はありませんが、内外装のデザイン・センスは格別ではないでしょうか。
そもそも、「500」ファミリーの武器は、そのルックスの良さにあります。実際に、日本における「500」ファミリーの販売は非常に好調で、2021年は過去最高の年間4858台を記録。なんと、08年3月の導入から14年目にしての最高記録を更新しているのです。メーカーであるステランティスの広報スタッフが言うには、「街中を走る500を見て、“あれと同じクルマが欲しい”とディーラーに駆け込む方が多い」とか。そのため、街を走る500が増えるほどに販売が上向きになるという不思議な現象が起きているのです。デビューが14年も前というのも、優れたデザインの「500」には、まったく関係ないというから驚きます。
その強みは新型EVである「500e」にも最大限に生かされています。ちなみに「500e」はエンジン車の「500」に対して、車体の96%が新設計されています。まったく違うクルマなのです。
寸法も「500」の全長3570×全幅1625×全高1515ミリ対して、「500e」は全長3630×全幅1685×全高1530ミリと微妙に大きくなっています。それでも、印象は全く同じ。それどころか、微妙にモダンになって、さらに格好良さがアップしています。ディティールを更新することで、フレッシュさを保つ。これが欧州ブランドの得意技だといえるでしょう。
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