ホリエモンが訴える国内サプライチェーンの重要性 脱ロシア化で起こる宇宙ビジネスの課題:ホリエモン×夏野剛(2)(2/3 ページ)
今や米国では、民間企業しかロケットを打ち上げられない可能性もある。一方の日本では比較的、国内でのサプライチェーンの機能が保たれている。インターステラテクノロジズでも他国の部品に依存しない形で、ロケットの打ち上げに何度も成功している。
スターリンクの強みが一気に生きた
堀江: 僕はもちろん宇宙インダストリーにいるので、スターリンクのすごさは分かっているし、通信衛星コンステレーションの素晴らしさもずっと説いてきました。ウクライナ戦争が起きて、ちょっと勘がある人はみんな分かりはじめました。
夏野: イーロンがすごいなと思ったのは、自分の会社がロケットを打ち上げられるから、そのついでに(スターリンクの衛星も)打ち上げていたわけじゃないですか。
堀江: ロケットをそのために打ち上げているみたいなところがありますね。
夏野: ちゃんとそれを、人の衛星を打ち上げるのを請け負いながら一緒に打ち上げているわけですよ。つまりコストとしてはほとんどかからない。
堀江: 原価で打ち上げられている。
夏野: そう。そこまでやっているから、あれだけの衛星の量があって、ウクライナでも実際につながるようになりました。
堀江: 昔ライブドアでも、要は自分たちでサーバを構築できるので、同じようなことをやっていました。サイバーエージェントがやっている「サイバークリック」っていう広告ネットワークみたいなものもそうですね。
夏野: 材料をちゃんと自分たちでやった上にある。だからスターリンクはすごいわけですよ。
堀江: 僕は何回も言っているんですけど、打ち上げロケットを自前で持っていない通信衛星は何の意味もないわけですね。いま衛星の会社に非常にお金が集まっているんだけど、ロケットにいかないと何も始まりませんよ。
夏野: スターリンクの強みが今回の軍事で一気に生かされたわけですね。
堀江: トンガ王国の火山噴火の時も、海底火山で光ファイバーが途切れちゃったから、スターリンクによる通信がすぐに提供されています。これ、すごいのは、実はウクライナの電波免許も一緒に取ってしまっているんです。
宇宙から電波を降らすのは勝手なんだけど、それを地上で受信するのは、各国の主権が及ぶ範囲なんですよね。だから、受信することは各国の電波法で許可されないとできなくて、その周波数帯を取らなきゃいけないわけです。ウクライナでも、この手続きが取られているはずで、この周波数帯を恐らくウクライナは緊急事態なので、スターリンクに渡したのではないかと思います。
夏野: このあとスターリンクは全世界で免許取れますよ。
堀江: 取れますね。すごい宣伝になりましたね。専門的な話をすると、ウクライナって高緯度にありますよね。
夏野: だから静止衛星が使えない。
堀江: 使えないんですよ。だから、ロシアは「モルニヤ軌道」という普通とは違う軌道を使っているんですよ。似たようなものに日本の準天頂衛星があるんですが、すごい長楕円軌道を使うことで、高緯度でも常に衛星が5機ぐらい通信できるようにしているんです。もちろん今回でウクライナはそれを使えなくなった。だからそこにスターリンクという構図になりました。
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