10人に1人が半年で辞める時代に、「スタバ」「マック」の姿勢から学ぶべきこと:店舗の人材教育(2/4 ページ)
日本では、パート・アルバイトの10人に1人が半年で辞める。定着率を上げるとともに、顧客に高い価値を提供するにはどうすべきか。筆者は「スタバ」「マック」の姿勢から学ぶべきだと主張する。
店舗の強みは人材
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、外食チェーンなどが持つ店舗における強みとは何か――こう聞かれたら、皆さまなら何と答えるでしょうか。「商品力」「ブランド力」「商品のリアル体験」「顧客接点の多さ」などが思い浮かぶかと思います。
私はかつて、スターバックスとマクドナルドの方にそれぞれお会いする機会があったので、同じ質問を投げかけたことがありました。
すると返ってきたのは、どちらとも即答で「人材」でした(もちろん、同じ会社で働く違う方に聞けば、異なる答えが返ってきたかもしれません)。
マクドナルドは店舗スタッフをクルーと呼び、スターバックスは正社員も含めパートナーと呼んでいます。こうした点についても、両社が店舗スタッフに対して敬意や熱意を持っていると感じます。
マクドナルドは、専門教育機関であるハンバーガー大学を設立し、自社のビジネスを「ハンバーガービジネス」ではなく、ハンバーガーを売っている「ピープルビジネス」だと定義しています。そこでは、ハンバーガーの作り方を学ぶのではなく、「生涯に渡って活用できるリーダーシップスキルの提供」「ブランドミッションを実現するための一人一人の能力向上」「Our Valueの浸透」を重要テーマに掲げています。
店舗においてはクルーのやる気に徹底的にフォーカスし、教育システムやオペレーションコンテストなど、モチベーションが維持されるような企画や仕組みを重視しています。マクドナルドの店舗オペレーションといえば、製造プロセスの標準化とスピードという点に目がいきがちですがそれだけではなく、アルバイトが部活のような感覚になり仲間と働く楽しさを醸成することで辞めないサイクルを目指しているのです。
スターバックスにおいてはアルバイトにも人材開発制度があります。「こうしなさい」という命令型ではなく、「あなたはどうなりたいか」というキャリアプランを支援するスタンスで、スタッフの動機を大切にしたものになっています。
アルバイトがキャリアプランシートを書く、そしてその目標を達成したら階級が上がり給与も上がる。こうした仕組みを展開することはシンプルなようで容易なことではありません。
それを実行する要因は単なる制度改革という側面ではなく、企業風土や理念に関するほど根深いテーマです。
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