「iモードがなければスマホは誕生しなかった」――KADOKAWA夏野剛社長が語る「日本の経営者にいま必要なもの」とは?:ニコニコ超会議を前に(5/5 ページ)
「ニコニコ超会議」を主催するドワンゴを率いるのは、NTTドコモが運営していたサービス「iモード」の生みの親とされる夏野剛社長だ。国内屈指のIP企業が、宇宙ベンチャー起業に出資した理由を聞いた。
ジャンルを横断できる経営者
――日本の自動車産業の場合、下請けをはじめとするサプライチェーンの問題から雇用維持の話などもあり、スムーズなEVへの移行が難しいとも言われています。
自動車会社がEVに転換したところで、サプライチェーンの企業は別になくならないと思います。サプライチェーンを担う企業は、新たに自分たちの技術の強みを生かせる分野で活躍できるはずです。むしろ、一つのサプライチェーンに固執しすぎるがあまりに、自動車メーカーごと倒産してしまったらみんなダメになってしまいます。現に、ガラケーを製造していた携帯メーカーは全滅したじゃないですか。全滅したら下請けもへったくれもありません。
――やはり、一つの既存の価値観にとらわれすぎている経営者が少なくない気がします。
一つの企業でしか仕事をしたことのない経営者のほうが日本では多いですから、無理もない話なのかもしれません。ただ、海外の著名な経営者を見れば、例えばイーロン・マスクは電気自動車とニュースペースの両方を手掛けていますし、スティーブ・ジョブズも、Appleを創業し一度追い出されてからも、NeXTでアプリの開発をやりながらピクサーという、今では世界的な映像制作会社を立ち上げました。
――ジャンルを横断できる経営者が日本にはなかなかいないですね。
僕も外から出版社の社長になっています。別に出版業界が長いわけではないので、だから「出版業界はこうです」っていう価値観を持っていません。逆に、そういう価値観に縛られず、「出版社ならこういうことやったほうがいい」ということは何なのかをすごく大事に思いながら経営しています。
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