1000円超の“高級のり弁”に行列、外食大手も注目 昔懐かしい国民食がなぜブームに?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
「のり弁」ブームが起きている。1000円超の高級弁当を売る店には行列ができており、大手外食チェーンも注目している。消費者に支持される背景を探った。
高級のり弁に行列
1000円を超える“高級のり弁”が出現し、好調に売り上げを伸ばしていることが、のり弁ブームに大きく寄与している。
高級のり弁の分野を開拓したのは刷毛じょうゆ 海苔弁山登りだ。東京駅、品川駅の改札内の店舗で行列が絶えない人気店である。店舗数は6店(21年12月現在)ある。「スープストックトーキョー」のスマイルズ(東京都目黒区)から分社した海苔弁山登り(東京都中央区)という会社が経営している。
12年、スマイルズ内に架空の店舗である刷毛じょうゆ 海苔弁山登りを立ち上げ、日本航空の国際線機内食にのり弁「海」「山」が採用されたのが始まり。
17年4月には、実店舗としての1号店、GINZA SIX店がオープンした。この店が、新歌舞伎座で歌舞伎を鑑賞する人などの間で評判になった。そして、お土産になる高級のり弁としての地位を確立した。同年10月には、東京・築地にセントラルキッチンを開設、直売所を併設した。
翌18年、東京駅改札内のエキュート東京に出店。以降、新橋、上野、品川の各駅に出店し、一種の駅弁として人気を博している。
21年5月には、JR東日本の小売・飲食部門で「エキュート」「ニューデイズ」などを運営する、JR東日本クロスステーション(東京都渋谷区)が資本参加した。
主力商品は「海」「山」「畑」の3種類(1100円)。一番人気の海は、脂の乗った鮭と竹輪の磯辺揚げが弁当箱から飛び出すほどの大きさで入っていて、駅弁としてはむしろ安いと思えるクオリティー。
山は、鶏の照り焼きが乗ったのり弁で、塩麹(こうじ)と生姜が鶏肉の味のアクセントとなっている。
畑は、れんこん大葉もち、舞茸の天ぷら、安納芋の大学芋など、畑の味覚を詰め込んだ。
この他、「金華さば塩焼き」「銀だら西京焼き」などの商品がある。
のりには、有明海で収穫されたその年の一番摘みの新芽を使用し、口どけが良い。トッピングの玉子焼にはあえて焦げ目を付けるなど、家庭料理の最上級を目指している。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 290円ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体
朝食に力を入れる外食チェーンや飲食店の動きが目立ってきた。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」、タピオカや台湾料理の専門店「春水堂」などが参入している。どのような戦略を打ち出しているのか。 - 「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿
「高級食パンのブームが去った」という報道が目立つ。SNSでは“大量閉店”の情報が飛び交う。最新の「高級食パン勢力図」から見えてきたものとは? - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.