1000円超の“高級のり弁”に行列、外食大手も注目 昔懐かしい国民食がなぜブームに?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
「のり弁」ブームが起きている。1000円超の高級弁当を売る店には行列ができており、大手外食チェーンも注目している。消費者に支持される背景を探った。
駅弁でもヒット
のり弁の駅弁でヒットを飛ばしているのが、福島県郡山市の郡山駅を拠点とする「海苔のりべん」だ。販売する福豆屋(福島県郡山市)は1924年(大正13年)の創業。多くの駅弁業者と同様に老舗なのだが、幕の内弁当を中心に長らく営業していて、のり弁は売っていなかった。
海苔のりべんの発売は2010年。3代目の現社長・小林裕子氏と専務の小林文紀氏の代になってからの商品であり、駅弁にしては比較的新しい。なぜ、のり弁だったか。子どもの頃、両親が仕事の合間に作ってくれた、愛情にあふれた弁当を再現したかったからだと、文紀氏は「産経新聞」(17年11月6日掲載)のインタビューに答えている。
子どもの頃は、人に見せるのが恥ずかしかったが、大人になって価値に気付いた。
駅弁大会で売り上げが上位に入る牛肉や蟹を使った駅弁でなく、見た目も地味。発売にあたっては、社内の反対も多く、実際しばらく売れなかった。ところが、15年8月、TBS系「マツコの知らない世界」で放映されて一躍有名になり、今では東京駅の日本最大の駅弁専門店「駅弁屋 祭」でも欠かせない売れ筋となった。一般利用者のWeb投票で「駅弁大将軍」を選ぶ、「JR東日本 駅弁味の陣2018」にて1位を獲得。「駅弁大将軍」の栄誉に輝いている。
海苔のりべんは焼鮭、玉子焼、煮物、漬物などのおかずが付いていて、幕の内の形式になっているのが特徴。のりには、宮城県の特産「みちのく寒流のり」を使用している。
ごはんの上におかかが乗り、その上にのり、さらには梅干しがある。また、食べ進めるともう一段、のりと味付け昆布が出現する。つまり、のりが二層の「海苔だんだん」形式なのが、もう一つの特徴だ。
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