知床遊覧船のような「観光ブラック企業」は、どのような特徴があるのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
北海道の知床半島沖で26人が乗った観光船が沈没した事故で、運営会社「知床遊覧船」のブラックぶりが次々と明らかになっている。「観光ブラック企業」にどのような特徴があるのか。知床遊覧船の公式WebサイトやSNSを見ると、そのヒントが詰まっていて……。
「ブラック企業で右往左往です」
北海道知床沖で26人の乗員乗客とともに行方不明になっていた観光船「KAZU I(カズワン)」の豊田徳幸船長は今年3月、Facebookにこんな愚痴を投稿した。
この言葉を裏付けるように、運営会社「知床遊覧船」のブラックぶりが次々と明らかになっている。まず、日本中が衝撃を受けたのが、荒天の予報が出て、同業者がみな船を出すことをあきらめていた中で、カズワンだけが“強行運航”したことである。
なぜこんなことをしたのか真相はまだ明らかになっていないが、同業者からは「運航できる」と判断をした桂田社長に対して、弱い立場の豊田船長が断れなかったのではないかと指摘する声が多い。社長から厳しいノルマを押し付けられて、安全性をないがしろにするのも、ブラック企業の定番だ。
世間が驚いた同社のブラックぶりは、これだけではない。21年だけでも2度も座礁事故などを繰り返していたにもかかわらず、GPS装置も衛星電話も積んでいなかった。事務所に設置されていた無線のアンテナも折れたままで、カズワンが海上保安庁に救助要請した際も、乗客の携帯電話が使われた。「安全」を担保するためのコストをとことんケチるのも、ブラック企業でよく見られる現象だ。
ただ、安全を軽視しているのはこの会社だけではない。埼玉県のあるバス会社に勤務する高速バス運転手が走行中に「ながらスマホ」をしていることが分かった。路肩にはみ出るような危険運転を乗客が注意すると、「いじってねえよ」「マナーの悪い客だな」などと逆ギレされたという。
そんな観光業者のずさんな実態が次々と明らかになると、GWや夏休みで観光を楽しもうという人たちはこんな風に思うのではないだろうか。家族や大切な人と安全に旅をするために、知床遊覧船のような「観光ブラック企業」を見抜くいい方法はないだろか――。
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