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知床遊覧船のような「観光ブラック企業」は、どのような特徴があるのかスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

北海道の知床半島沖で26人が乗った観光船が沈没した事故で、運営会社「知床遊覧船」のブラックぶりが次々と明らかになっている。「観光ブラック企業」にどのような特徴があるのか。知床遊覧船の公式WebサイトやSNSを見ると、そのヒントが詰まっていて……。

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公式WebサイトやSNSの更新

 今回、悲劇に襲われた人たちはみな、知床遊覧船がここまでひどい会社だと知ることもなく、カズワンに乗り込んでしまった。公式Webサイトをチェックしても、同業者と同じように、美しい知床の写真が多く使われていて、同じような情報しか掲載されていない。また、「安全への取り組み」として「知床小型船協議会加入」「船客障害賠償責任保険加入」「知床小型船協議会合同安全訓練毎年実施」などという文字も並んでいるので、なんとなくちゃんとした会社だという印象を受けてしまう。

 また、荒天の予報に関しても、知床に初めて訪れる観光客からすれば、地元の観光船が運航しているというだけで、「きっと安全なのだろう」と信頼してしまう。

 つまり、われわれ一般の観光客が入手できるような公開情報だけで、知床遊覧船のような観光ブラック企業を見抜くことは、至難の技なのだ。


コース案内(出典:知床遊覧船)

 ただ、今回事故を起こした知床遊覧船の情報を精査していくと、ひとつの判断基準になるかもしれない観光ブラック企業の特徴が浮かび上がる。

 それは、公式WebサイトやSNSの更新である。

 先ほど申し上げたように、知床遊覧船のWebサイトをパッと見だけでは“ブラック感”はまったく伝わってこないが、注意深く精査していくと、ひっかかる点がいくつかある。

 まず、「ブログ」をのぞいてみると、最新記事は19年8月となっている。2年9カ月もの間、情報が更新されていない。さらに、Webサイトに埋め込まれているFacebookを確認すると、投稿は20年8月で終わっている。こちらも1年9カ月更新されていないのだ。


ブログの更新は2019年8月で止まっている(出典:知床遊覧船)

 もちろん、知床で小型観光船によるクルージングツアーは、1年の中で5〜9月下旬という短い期間しか運航できないので、他の観光業者に比べてそこまで頻繁に情報を更新することはない。だが、それを考慮しても知床遊覧船の放置ぶりは異彩を放っている。

 例えば、同じ知床小型船協議会に加盟している同業者の中には今年1月にSNSを投稿しているところもある。また、大型船で知床クルージングができる「知床観光船おーろら」もGW前に告知するために、Facebookを4月20日に更新している。

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