「みどりの窓口」削減宣言から1年 JR東の打ち出した“救済措置”とは?:チケットレス化推進(3/3 ページ)
JR東日本が「みどりの窓口」を減らしている。背景にあるのはチケットレス化の推進などだ。みどりの窓口がなくなった駅の利用者に対する救済措置とは?
救済措置の理由
なぜ、JR東ではこのような対応をしているのか。同社の広報担当者によると、利用者に負担をかけないことを目的に、最寄りの取り扱い駅(みどりの窓口設置駅や券売機設置駅)までの乗車分の運賃を払い戻す案内をしているという。
みどりの窓口を減らす“宣言”をした21年の前は、みどりの窓口の営業が終了した駅ごとに、利用者に対して個別の案内をしていた。しかし、21年からはJR東管内において、共通のポスターなどで幅広く告知するようにしている。
今回、記者が経験したような“救済措置”については、直ちに終了する予定はないという。ただ、今後は状況を見ながら見直しをする可能性がある。
なぜ、みどりの窓口を減らすのか。背景には、利用者の生活スタイルが変化したことや、人口減少などがある。同社はグループ経営ビジョン「変革2027」を策定している。同ビジョンの中では、「シームレスでストレスフリーな移動の実現」を目標に掲げている。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、駅の窓口や券売機できっぷを受け取らずとも、電車を利用できるようなサービスを拡充する方針だ。こうした動きと並行して「みどりの窓口の配置見直しに取り組む」(広報担当者)としている。
チケットレスのサービスを拡充してきた結果、みどりの窓口の利用者が減っているという事情もある。例えば、定期券、新幹線、特急列車の乗車券類やグリーン券などの購入者のうち、約8割はみどりの窓口以外のきっぷ販売サービスを利用しているという実態もあった。
みどりの窓口が減ることで、不便に感じる利用者が一定数出てくるのは確かだ。ただ、同社は話せる指定席券売機の設置数を増やしたり、新幹線eチケット(きっぷを受け取らず、交通系ICカード・モバイルSuicaなどを自動改札機にタッチすることで新幹線に乗車できるサービス)などの利用を働き掛けたりしていくという。
※一部表記を最新のデータに更新しました
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