コメダ珈琲は、なぜコロナの悪影響をあまり受けなかったのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/5 ページ)
決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。第3回目として取り上げるのはコメダホールディングスです。もちろんコメダコーヒーの運営をしている企業です。
コロナでも売上減は7.6%
それではまずはコメダHDのここ数年の業績の推移を見ていきます。
売上高の推移から見ていくと、コロナ前の2020年2月期までは右肩上がりで成長を続けていて、コロナ禍入した21年の2月期には売り上げは7.6%減少して288.3億円となっています。
売上減が7.6%減で済んだというのは、他の多くの飲食業と比べると影響は非常に少ないものの、コロナの悪影響は出ていたことが分かります。
続いて営業利益の推移を見ていくと、これもコロナ禍以前では売り上げの増加とともに右肩上がりで成長してきました。そこから21年2月期には、前期比30%減で55.1億円と悪化してしまっています。
コロナの悪影響はありつつも営業黒字を維持していますので、利益面でも苦しい状況が続いていた飲食業界の中では比較的好調だったことが分かります。
比較的コロナの影響が小規模だった要因としては、コメダHDは郊外店舗が多かったことが考えられます。というのもテレワーク化や巣ごもりなどで都心部の人が減少していた一方で、普段は郊外に住んで都心部に出勤するというライフスタイルの人が郊外に留まり続けていました。単純に郊外の人の数(滞在時間)が増えたわけです。つまり市場自体が大きくなっていたということです。もちろん外食の抑制や時短営業の影響はあるものの、市場自体が大きくなっていたので悪影響は小さくて済んだということでしょう。
また、コメダHDの業績悪化が小さかった要因としてはFC中心で展開していた点も挙げられます。
今回決算を見ているコメダHD自体がやっているのは、店舗の運営ではなくFC本部の運営が中心です。
コメダHDのメインの収入源は、FC店からのロイヤリティー収入と店内で販売するコーヒーや食材の卸となっています。
もちろんFC店舗が不調になれば、そのロイヤリティーや食材の卸の量も減るので悪影響は受けるものの、自社では店舗などの固定費の大きい設備を抱えているわけではないので、業績への悪影響が小さくなります。
このように、郊外店舗が多くFC中心という、コロナの悪影響を受けづらい業態だったのがコメダHDです。想像してみると分かりますが、カフェといえば都心店舗が多いですから、コロナ禍でカフェ業態は大きな業績悪化となるところがほとんどでした。その中でかなりの好業績の企業です。
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