2015年7月27日以前の記事
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マクドナルドのテークアウト/デリバリー成功の要因はどこにあった? 絶好調で時短協力金も辞退 妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/6 ページ)

決算書で分かる日本経済の動向ということで、4回連続で飲食企業4社の決算を取り上げて、日本の飲食企業の現状を見ていきます。今回取り上げるのは日本マクドナルドホールディングス、ハンバーガーチェーンのマクドナルドの国内展開をしている企業です。

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テークアウト/デリバリー成功の要因

 とはいえ、デリバリーやテークアウトを推進したからといってそれが成長につながるという訳ではありません。多くの飲食店がコロナ禍でテークアウトやフードデリバリーを始めて失敗しています。

 ではどうしてこれだけマクドナルドHDのテークアウト、デリバリーがうまくいっていたのでしょうか? まず考えられる店舗側の大きな要因としては、そもそも環境が整っていたということがあります。コロナ禍以前からドライブスルーやテークアウトが多い業態でしたから、そもそもドライブスルーレーンが設置されていたり、オペレーションが既に定まっていたりしました。

 さらにマクドナルドという、世界でも有数のチェーン店のオペレーションや教育のレベルの高さはすごいものがありますので、作業が煩雑化する中でも店舗側が対応できていたというのも大きいでしょう。

 また、集客という点で考えると、当たり前ですが飲食店が顧客に来店してもらうには「あのお店で食事をしよう」と顧客に思いついてもらう必要があります。またテークアウトも「あの店でテークアウトをしよう」と思いついてもらう必要があります。

 コロナの影響が出てしばらくしてから初めて「この店もテークアウト始めたんだ」と気づいたことはないでしょうか? そのような店舗では、顧客が気づく前には、そもそもテークアウトをしようと思った際の選択肢に上がらないので基本的には売れません。

 一方でマクドナルドのように以前からテークアウトの多い業態は、真っ先に思いつく候補の1つだったはずです。さらに地方部では、テイクアウトやデリバリーの選択肢は多くはなく、そういった中では特に選択肢に上がりやすい環境にありました。

 なので、マクドナルド含めケンタッキーやモスバーガーなど、コロナ以前からテークアウトが多かったところは好調になっていると考えられます。

 また、マクドナルドHDがテークアウトが多い業態の中でも特に好調だったのは、コロナ禍以前からSNSマーケティングがうまくいっていたというのも大きな要因でしょう。15年には異物混入問題があり、大きな業績悪化となったマクドナルドHDですが、それ以降はSNSを通じたマーケティングも功を奏し大きな成長を遂げています。

 マクドナルドHDのテークアウト/デリバリーの成功は、コロナ以前から土壌ができあがっていたというのが成長の大きな要因だと考えられます。

 さらに先ほど見たように、マクドナルドHDの公式アプリのアクティブユーザー数は月間2300万人にのぼり、そこからプッシュ通知などを生かした接触も増やせました。自社アプリの場合、取れるデータ量が多いのでコロナ禍での変化が大きい中で改善にもつながりやすかったことも考えられます。

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