カインズ土屋会長が「慣れない英語で質問」したワケ “IT小売企業”への一歩:長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」 カインズのDX編(2/5 ページ)
東急ハンズCIO・メルカリCIOなどを務め、独立した長谷川秀樹氏が、IT改革者と語る「IT酒場放浪記」。今回のゲストは、カインズの土屋裕雅会長。デジタル事業への100億円以上の投資を表明し、IT化を進めているカインズ。その背景にあった「出会い」とは?
長谷川: すごく印象に残っているのは、土屋さんが慣れない英語で果敢に話しかけていたこと。大企業の社長って、自分が英語で質問しなくても周りが何とかしてくれるものです。上がってきたレポートを見て、「ええんちゃう、悪いんちゃう」とやっているケースが多い。土屋さんのように自ら参加し、恥ずかしい思いをするようなことを率先してやろうとする人は、あまりいないんじゃないかな。
土屋: 好奇心が語学力や恥ずかしさを超えてしまったんですよね。
帰国して、興奮冷めやらぬうちに「IT小売企業宣言」をしたのですが、正直なところ、「IT小売企業」になるためにはどうすればいいのか具体策があったわけではありませんでした。何とかしなきゃと。そこで、IT業界での知名度を高めようと思って出たのが、「IT酒場放浪記(2018年2月掲載、関連記事)」なんです。
「IT酒場放浪記」は、長谷川さんが「この人は」と思った人を呼んでいたのは分かっていました。でも、当時の僕が持っていたカードは、「IT酒場放浪記」しかありませんでした。僕だけですよね、自ら電話して「出してください」とお願いしたのは。それくらい必死でした。
長谷川: 僕も驚いて聞き返しました。「それ、広報通ってます?」って(笑)
でも、それも今や昔。カインズは、ここ数年で、かなり積極的にIT人材の採用を進めていますよね。CIOクラスの人材も1人や2人ではなく、そんなにスターばかり集めてケンカせんのかな、と心配になるくらい。
土屋: 前期末までに150人採用する予定だったところ、200人近くになっています。うまくいっていると思いますよ。大事なのは、IT人材と現場で問題を抱えている人とのコラボレーション。オンラインで注文しておくと商品を探し回らずに受け取れる「CAINZ PickUp」といったサービスや、商品のある売場や在庫数を検索できるアプリ「Find in CAINZ」は、二者のコラボレーションから生まれました。
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