歌手・リアーナの下着ブランドが大成功 下着のサイズに隠れた“ビジネスチャンス”とは:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(3/4 ページ)
米国で、下着をオンラインで購入する人が増えている。その中でも、歌手のリアーナが立ち上げたブランドが注目を集めている。成功の背景にある、下着のサイズに隠れた“ビジネスチャンス”とAI活用の方法とは――。
日本での取り組みとどう違う?
日本の下着業界大手ワコールも、お客の3Dサイズを計測しぴったりサイズの下着を提案するサービスを提供していますが(関連記事)、店舗で専用のブース型の機械を使っての計測となるため、iPhoneを使って計測するこのサービスと比べると、今後利用できる人は限定的と言えそうです。
また、AIのトレーニングデータ収集に関しては、以前日本でもZOZOがボディースーツ「ZOZOスーツ」を200円で販売したことが話題になりました。「着るだけで自分の身体のサイズを測定してくれるボディースーツ」として多くのアーリーアダプターが購入しましたが、実際にはZOZOスーツを着用した状態で自分のスマホで写真を何枚も撮らなくてはならない工程が顧客にとっては障壁の一つとなり、浸透しませんでした。
ZOZOスーツは顧客に採寸工程を任せる形でボディーデータを収集する形をとりましたが、顧客を巻き込んでデータ収集をするのは不確定要素が多いことが分かります。例えば、測定方法に個人差が出るため集められたデータの正確性が検証できない、測定自体をしない人が多い、測定環境や撮影環境がコントロールできないことなどです。
Fit:Matchでは、数千人の女性の寸法を独自にスキャンしてAI開発のための訓練データ収集をしたということで、このような不確定要素を極力少なくして、データを集めたのではないかと考察できます。
こうした工程を経て開発されたAIが、新規顧客のボディースキャンデータと3Dサイズチャートを照合し、的確なサイズを提案してくれるというわけです。また、新規顧客のボディースキャンデータとおすすめサイズとの差分(きつい部分、緩い部分)も提示されることから、店員が顧客に商品をおすすめする際に、より質の高いコミュニケーションをとるきっかけにもなります。
- 赤い部分:サイズ表のフィットモデルより大きい形状→きつい部分
- 青い部分:サイズ表のモデルより小さい形状→緩い部分
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