価格よりおいしさ重視のスシロー、都市を攻めるくら寿司 「100円皿」危機の中、各社の戦略は:回転すし「10円戦争」時代(3/3 ページ)
回転すしチェーン店の値上げ報道が続いている。水産資源の高騰や円安によるコスト増などから、かつて回転すしチェーン店の代名詞であった「100円皿」も存続が危ぶまれている。スシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司はこの状況をどのように受け止め、どのような戦略を立てるのか。話を聞いた。
かっぱ寿司も値上げなし フェア開催に注力
かっぱ寿司も、値上げの予定はないという。
広報担当者は「110円皿商品の一律一斉の値上げは考えておりません」と話す。また、すし提供をめぐるコストの高騰については「コスト面だけでなく、お客さまの消費マインドに対する負の影響が大きいと考えます」と、消費意欲の低下に対する懸念を話した。
こうした状況を受けて、かっぱ寿司ではフェアの開催に力を入れるという。
「5月31日から、1皿で3種類のネタをお楽しみいただける『三貫ネタ祭り』を開催いたします。1皿で3つの味が楽しめる『三貫ネタ』は、お得感とさまざまな種類を召し上がりたいというニーズから大変人気の商品です。3貫110円からお楽しみいただけるさまざまな商品をご用意します」(同担当者)
問われる「10円」単位での戦略
「100円皿」の存続については、帝国データバンクも存続の危機を懸念している。同社は「『回転すし業界』動向調査」の中で「5割に迫るとされる高原価率の回転すしチェーンでは、折からの急激な円安も重なって今後も大幅なコスト上昇が避けられない。(中略)これまでのように『1皿100円』で食べられなくなる可能性もある」と分析している。
原価が提供価格を圧迫する中、各社では「価格を10円あげるかどうか」「値上げをしないなら、どこで利益を確保するか」と戦略の検討が進められていることだろう。
回転すしを取り巻く市場の変化は、業界の勢力図にどのような影響を与えるだろうか。そして提供価格はどのように変わっていくだろうか。数年後には、「1皿110円や120円ですしを食べていた頃は良かったなあ」と振り返ることになるかもしれない。
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