価格よりおいしさ重視のスシロー、都市を攻めるくら寿司 「100円皿」危機の中、各社の戦略は:回転すし「10円戦争」時代(2/3 ページ)
回転すしチェーン店の値上げ報道が続いている。水産資源の高騰や円安によるコスト増などから、かつて回転すしチェーン店の代名詞であった「100円皿」も存続が危ぶまれている。スシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司はこの状況をどのように受け止め、どのような戦略を立てるのか。話を聞いた。
はま寿司、高価格商品を値上げ 「100円皿はお客さまに支持されている」
一方、はま寿司は5月26日から、高価格帯の商品のみ値上げする。
1皿308円の商品群が、319円となる。価格変更となる商品群は、地産の魚介類を使った商品などが中心だ。一方、メニューの大半を占める110円、165円の皿の価格は据え置き、「今のところ値上げの予定はない」としている。
はま寿司の広報担当者は、すしの提供を巡るさまざまなコストが高騰していることを挙げた上で、「主力の低価格帯のお皿は、お客さまに支持されています。そこを値上げしてしまうと、お客さまの期待に沿えないと考えました。しっかりと期待に応えるため、低価格帯は据え置きで、高価格帯の商品のみの価格改定にとどまりました」と話す。
「今の価格を維持しながら、品質を落とさない努力をしていきたいです。今と同じものを、同じように提供することが、現在のお客さまからの支持につながっていると思いますので、その意識の向上に努めていきます」(同担当者)
くら寿司は、値上げなし 「アフターコロナを見据え、都市型店舗を」
くら寿司では、1皿110円(税抜き100円)を継続している。
くら寿司の広報担当者は「今のところ、当社では価格を上げていく考えはありません」と話す。コスト高騰による対応についても、特別なものはないと話し、市況に動じない姿勢を見せる。
今後の戦略として、同担当者は「アフターコロナを見据えており、観光客の方などに来ていただくため、都市型店舗を増やしていきたいです」と説明する。
「新しいグローバル旗艦店として、原宿店もオープンしています。通常の店舗に付加価値をつけ、エンターテインメントの要素を加えた店舗で、日本に住んでいるお客さまはもちろん、これから戻ってくる海外のお客さまにも楽しんでいただきたいです。海外にも通用するような、日本の伝統美を意識したSNSに映える内装のデザインに注力しています」
くら寿司は、都市型店舗での提供価格を高く設定している。都市型店舗では、通常エリアで110円皿を125円で提供する店が多い。また、原宿、浅草、押上、道頓堀にあるグローバル旗艦店のうち、原宿、浅草、押上では110円皿を132円で提供している。
都市型化戦略には、収益性の向上の意図もあるのかと考え、質問したところ「そういった考えではありません。これまでは立地として(都市から)離れたところにある店舗が多かったのですが、これからはアフターコロナ・インバウンドのことも見据えて、都市型店舗を増やしていきたいと考えています」との回答だった。
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