伝説のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS」を支えた事務所社長 米国進出の舞台裏を聞く:「世界への扉」を開いた(2/6 ページ)
デビューから41周年を迎えた日本のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS(ラウドネス)」。所属事務所の社長に、ラウドネスをいかにしてマネジメントしてきたか、米国進出の経緯などについて聞く。
窓のないホテルに宿泊 全国を回る
――ラウドネスのマネジメント会社社長の仕事について教えてもらえますか。
ラウドネスをマネジメントするカタナミュージックを立ち上げて9年になります。ラウドネスには、1989年から(ライブやコンサートなどで、アーティストが使用する楽器や機材の設置や調整、メンテナンスをする)ローディーとして関わって、97年ころまで一緒に仕事をしていました。
その後、一度マネジメントからは離れますが、2014年にマネジメントに戻りました。現在、従業員がいるわけではなく私一人のワンオペで、外部スタッフをその都度に雇い、信頼できる方々に外注しながら仕事をしています。
――5月から40周年ツアーに入っていますね。
正確にいうと結成41年目なのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、40周年ツアーがずれこんだ形です。昨年末にニューアルバムをリリースしたこともあって、40周年を掲げたままツアーに出ています。
――隅田さんがローディーという仕事に関わるようになった経緯は?
大阪府の高校を卒業し、音楽系の専門学校でPA(パブリック・アドレスの略。ライブで扱う音響機器)の勉強をしていました。
そのうち、コンサート警備のバイトに行くようになり、たまたまアンセム(1980年初頭より現在も活動するヘヴィメタルバンド)のレコーディングスタッフを担当することになりました。そのままツアーマネージャー的な仕事をしながらローディーをやっていくことになります。20歳くらいの時ですね。
――ツアーマネージングとはどんな仕事なんですか?
当時、アンセムにはマネージャーはいたものの、運手免許を持っていませんでした。そこで運転免許を持つ私が機材車を運転し、全国を回っていました。
マネージャーがライブ会場をブッキングし、私が現場の仕事をこなしていました。当時は事務所スタッフ2人とPAさん計3人、メンバー4人でツアーを回っていました。ライブ前のセッティング、ライブ後の物販、機材の積み込み、ライブ会場での精算をして、次の街に行く。その繰り返しです。
――本当に少人数でやっていたんですね
今でもライブハウスを回っているバンドは、そういう感じだと思いますよ。普通免許で運転できる車両に乗れるのはせいぜい7〜8人です。メンバーやスタッフと機材を移動させなければいけないので、余裕があるバンドは、ハイエース2台にして、メンバー車、機材車という感じですね。
当時のヘヴィメタルバンドはアンプなど機材の量も多く、ロケバスみたいなコースターを使うバンドも少なくありませんでした。
――ツアーに関わることは何でもやっていた感じですね。
大変だったのは、宿泊場所探しですね。当時は、携帯もネットもないし、毎年全国のビジネスホテルガイド新版を買って、安いところを探していました。
当時は大阪に、メタルバンドも定宿にしていた“ホテル関西”っていう安いホテルがあって、追加ベッドを入れるとトリプルルームにもできたんですけど、窓がなかったりとか(笑)。
関連記事
- 音楽ポップスの興行規模ランキング 3位「AAA」、2位「EXILE TRIBE」、1位は?
ぴあ総研は、2021年の音楽ポップスの興行規模に関するランキングを公表した。その結果1位は、デビュー10周年を迎えてドームツアーを開催した「三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」だった。 - HYDEが心酔した画家・金子國義 美術を守り続ける息子の苦悩と誇り
L'Arc-en-Cielのhydeさんが“心酔”した画家が、2015年に78歳で亡くなった金子國義画伯だ。金子画伯は、『不思義の国のアリス』などを手掛け、退廃的で妖艶な女性の絵画を多く残した。その作品を管理し、販売している金子画伯の息子である金子修さんに、アートビジネスの現場の苦労と、芸術を受け継いでいく難しさを聞く。 - 「これさぁ、悪いんだけど、捨ててくれる?」――『ジャンプ』伝説の編集長が、数億円を費やした『ドラゴンボールのゲーム事業』を容赦なく“ボツ”にした真相
鳥山明氏の『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』の担当編集者だったマシリトこと鳥嶋和彦氏はかつて、同作のビデオゲームを開発していたバンダイに対して、数億円の予算を投じたゲーム開発をいったん中止させた。それはいったいなぜなのか。そしてそのとき、ゲーム会社と原作元の間にはどのような考え方の違いがあったのか。“ボツ”にした経緯と真相をお届けする。 - BABYMETALのプロデューサー「KOBAMETAL」に聞くライブエンタメビジネスの展望
BABYMETALをプロデュースしたKOBAMETALさんにコロナ禍のライブ・エンタテインメントビジネスの展望を聞いた。 - BABYMETALプロデュ―スの舞台裏をKOBAMETALに聞く メタルとダンスをいかにして融合させヒットに導いたのか?
日本のエンタメビジネスの常識を変えたBABYMETAL。プロデュースしたKOBAMETALさんにプロデュ―スの裏側について聞いた。 - 春うたのTOP10、平成1位はスピッツ「春の歌」 令和1位は?
昭和、平成、令和に分けて「春うたのTOP10」を調査した結果、令和編で1位となったのはヨルシカの「春泥棒」だった。 - 高校生が選ぶ好きなYouTubeチャンネル 2位「コムドット」、1位は?
調査対象は高校生(15〜18歳・男女比は男子5:女子5)。有効回答数は200名分。 - 「この企業に勤める人と結婚したい」ランキング トヨタ自動車、任天堂をおさえての1位は?
「この企業に勤める人と結婚したいランキング調査」。1位は「地方公務員」(28.6%)だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.