伝説のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS」を支えた事務所社長 米国進出の舞台裏を聞く:「世界への扉」を開いた(3/6 ページ)
デビューから41周年を迎えた日本のヘヴィメタルバンド「LOUDNESS(ラウドネス)」。所属事務所の社長に、ラウドネスをいかにしてマネジメントしてきたか、米国進出の経緯などについて聞く。
ラルク、B'z、黒夢が尊敬するバンド
――L'Arc-en-Ciel、B'z、黒夢など多くの有名アーティストがラウドネスをリスペクトしています。隅田さんのラウドネスの第一印象はどんなものでしたか?
ライブを観(み)にいくようになったのは高校生の時です。いろいろなバンドを観てきましたが、演奏力を含め圧倒的に何かが違っていましたね。
ラウドネスのメンバーに会ったのは、80年代アンセムが米ロサンゼルスで公演した時です。ちょうどラウドネスもアルバム制作でロサンゼルスにいて、偶然同じホテルに宿泊していました。
ラウドネスのギタリスト、高崎晃さんの部屋に行く機会があり、彼のプレーを目前にするのですが、これまで観たり、聴いたりしてきたギターではなく、もう別格という感じでした。
――その出会いの後、ラウドネスのマネジメントに関わるようになったのですか?
アンセムでは日本ツアーを複数回り、アルバムも2枚分ほど担当しました。その後、別の世界も見てみたくなり、ジャズやフュージョンに関わる仕事もしました。ですが、やっぱりメタルが好きだと気付き、「やはりメタルを極めるならラウドネスだな」と思っていたところ、知り合いからの紹介もあってラウドネスに関わることになります。
――ラウドネスにはベースのローディーとして関わったそうですが、自身も楽器をやられていたんですか?
ギターは少しやっていましたが、文化祭用に練習したくらいでしたね(笑)。
――実際に、ラウドネスに関わることは刺激的でしたか?
それまでの仕事とは全く規模が違い、いろいろと勉強させもらいましたね。今は日本でも普通になったステージ上の演出機材ムービングトラスやチェーンモーターなどは、ラウドネスが米国で本場のエンタメの舞台で知り、日本に持ち込んだのが最初だそうです。
――米国のステージを日本にもってくるとは画期的でしたね。
米国のステージを観て、そのすごさに触れ学んだスタッフが、今もラウドネスのスタッフにもいます。
当時、米国のツアーには、テレビクルーも同行していて、カメラを回していたんだそうです。これらの収録テープは、なくなったと長年聞かされていました。
しかし、ダメもとで当時を知る方に探してもらったら、テープが出てきたのです。今から5年前に「THUNDER IN THE EAST」というアルバムの30周年記念盤を出したのですが、当時の様子をドキュメントとして入れました。米国でのラウドネスへの熱狂ぶりがよく分かります。
――いま振り返ってラウドネスの41年間には、いくつかのターニングポイントがあったと思うのですが、どのあたりだったと思いますか?
1つ目は、浅草国際劇場のデビューライブですね。これはファンの間では「ラウドネス衝撃のデビューライブ」として知られていて、音のデカさも演奏力も圧巻だったそうです。3000人のファンが集まりました。今も現役で活躍している多くのミュージシャンや評論家、そして現在のラウドネスの舞台監督も、もみくちゃにされながら最前列で観ていたライブです。
2つ目は、初めての米国西海岸ツアーと欧州ツアーでしょうか。後者は、ライブドキュメント作「ユーロバウンズ」として記録に残っています。欧州の街から街へと連続して回ったものですが、映像からも現地での熱狂ぶりが伝わります。
最後は「THUNDER IN THE EAST」を携えての米国進出です。これは、後に知ることになるのですが、いくつもの面白いエピソードがあります。
関連記事
- 音楽ポップスの興行規模ランキング 3位「AAA」、2位「EXILE TRIBE」、1位は?
ぴあ総研は、2021年の音楽ポップスの興行規模に関するランキングを公表した。その結果1位は、デビュー10周年を迎えてドームツアーを開催した「三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」だった。 - HYDEが心酔した画家・金子國義 美術を守り続ける息子の苦悩と誇り
L'Arc-en-Cielのhydeさんが“心酔”した画家が、2015年に78歳で亡くなった金子國義画伯だ。金子画伯は、『不思義の国のアリス』などを手掛け、退廃的で妖艶な女性の絵画を多く残した。その作品を管理し、販売している金子画伯の息子である金子修さんに、アートビジネスの現場の苦労と、芸術を受け継いでいく難しさを聞く。 - 「これさぁ、悪いんだけど、捨ててくれる?」――『ジャンプ』伝説の編集長が、数億円を費やした『ドラゴンボールのゲーム事業』を容赦なく“ボツ”にした真相
鳥山明氏の『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』の担当編集者だったマシリトこと鳥嶋和彦氏はかつて、同作のビデオゲームを開発していたバンダイに対して、数億円の予算を投じたゲーム開発をいったん中止させた。それはいったいなぜなのか。そしてそのとき、ゲーム会社と原作元の間にはどのような考え方の違いがあったのか。“ボツ”にした経緯と真相をお届けする。 - BABYMETALのプロデューサー「KOBAMETAL」に聞くライブエンタメビジネスの展望
BABYMETALをプロデュースしたKOBAMETALさんにコロナ禍のライブ・エンタテインメントビジネスの展望を聞いた。 - BABYMETALプロデュ―スの舞台裏をKOBAMETALに聞く メタルとダンスをいかにして融合させヒットに導いたのか?
日本のエンタメビジネスの常識を変えたBABYMETAL。プロデュースしたKOBAMETALさんにプロデュ―スの裏側について聞いた。 - 春うたのTOP10、平成1位はスピッツ「春の歌」 令和1位は?
昭和、平成、令和に分けて「春うたのTOP10」を調査した結果、令和編で1位となったのはヨルシカの「春泥棒」だった。 - 高校生が選ぶ好きなYouTubeチャンネル 2位「コムドット」、1位は?
調査対象は高校生(15〜18歳・男女比は男子5:女子5)。有効回答数は200名分。 - 「この企業に勤める人と結婚したい」ランキング トヨタ自動車、任天堂をおさえての1位は?
「この企業に勤める人と結婚したいランキング調査」。1位は「地方公務員」(28.6%)だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.