鬼マナー研修や地獄の特訓に参加させる企業が、経営的無能な理由:洗脳手法(1/3 ページ)
激しい言葉でスタッフを叱責したり、泣かせる「指導」がテレビでも放映されます。昔からある地獄の特訓的スパルタ社員教育はなぜ存在するのか。そもそもそうした指導は意味があるのか、人事と経営視点で考えます。
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
「テレビがつまらなくなった」といわれて久しいですが、番組制作の現場は規制でがんじがらめ。そもそもおもしろい番組が無くなったのでは無く、「作れなくなった」のが実態だと思います。
いうまでもなく「視聴者の声」やBPOによる指導により、テレビ番組を作る全能の神が「おもしろい番組」ではなく、「批判を浴びない番組」を作るよう命じるからです。その神とは誰でしょう?
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テレビ番組はスポンサーがなければ成り立ちません。だからスポンサーは放送局にとって神のような存在ともいえる訳です。そのスポンサーがトラブルを嫌い、結果としてかつて抱腹絶倒だったお笑い番組がほとんど作れなくなってしまったのでした。
お笑い芸人が熱湯風呂や熱々オデンを食べさせられてあわてるシーンはイジメであるとか、暴力であるという批判の声が、たとえ一部であってもインターネットで簡単に届くようになりました。あたかも全視聴者がバカバカしいバラエティ番組を嫌っているかのように勘違いした「神様」とは、企業オーナーではなく広告担当のサラリーマンなのです。批判が自社に向いた時に責任など取りたくありません。
だからちょっとでも批判があるような番組は避け、人を傷つけないとか毒にも薬にもならないグルメレポートやら動物・子どもドキュメンタリー、クイズ番組しか作れないのが今なのだといえます。熱々オデンを食べる芸人さんたちはプロです。すべて計算の上、どうすれば笑いを起こせるかを考え抜いた上で行っている「芸」であって、それが感動すら呼んだことを上島竜兵さんがお亡くなりになって、しみじみ思い起こしました。
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