鬼マナー研修や地獄の特訓に参加させる企業が、経営的無能な理由:洗脳手法(2/3 ページ)
激しい言葉でスタッフを叱責したり、泣かせる「指導」がテレビでも放映されます。昔からある地獄の特訓的スパルタ社員教育はなぜ存在するのか。そもそもそうした指導は意味があるのか、人事と経営視点で考えます。
鬼マナー研修がパワハラである理由
このようなプロの芸がやりづらくなる以前から、バラエティ番組でも罰ゲームで痛い思いをさせるためにプロレスラーやキックボクサーから攻撃させるという手法がありました。罰ゲームマシーンを作って、機械に代行させる手もあります。
またスパルタ指導で有名なラーメン屋経営者などを吠えさせるというものもありました。
鬼講師はその派生型であって、手法として珍しいものではないのですが、これだけハラスメントやコンプライアンスを気にしているにもかかわらず、今でもテレビ番組で取り扱うことに驚きでした。
これはプロが見せるオデン芸ではなく、社員やスタッフへの完全なパワハラだからです。
私は人事コンサルタントとして、全国の企業などでハラスメント研修、特に幹部・管理者のハラスメント研修を多数行っています。「ハラスメントは受け止める方がそう思えば成立する」と勘違いしている人が多数いるのですが、完全な間違いです。
パワハラの成立は受け止め方のようなあいまいなものではありません。厚生労働省が明確に規定しています。
パワハラ成立3要件
- 職場の地位・優位性を利用
- 業務の適正な範囲を超えた指示・命令
- 相手に著しい精神的苦痛を与えたり、その職場環境を害する行為
社員は自完全自由意志によって発的に研修に参加しているのではなく、「社命として」仕事の一環で研修を受けます。それを拒絶すれば服務違反、労働契約違反となるでしょう。そして暴言=言葉の暴力を伴う「研修」とやらは明確に人格否定や厳しい追及など「適正範囲を超えた指示」となっています。さらに泣き出す社員がいるほど「相手に精神的苦痛」を与えたという、完全にパワハラ3要件を満たしているのです。
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