鬼マナー研修や地獄の特訓に参加させる企業が、経営的無能な理由:洗脳手法(3/3 ページ)
激しい言葉でスタッフを叱責したり、泣かせる「指導」がテレビでも放映されます。昔からある地獄の特訓的スパルタ社員教育はなぜ存在するのか。そもそもそうした指導は意味があるのか、人事と経営視点で考えます。
一番の責任は経営者
ハラスメントをした側は、必ず「昔は普通だった」「良かれと思って」「本人のため」と言い訳します。しかし現在のコンプライアンス上、ハラスメント行為者の意図に一つたりとも正当性は認められません。完全アウトです。
こうした地獄の特訓的手法は実は心理学的に証明された効果があります。洗脳手法です。
人格否定や寝かさない、食べさせないなど、極端に過酷な環境に監禁し、異常な心理状態に追い込み、自分や仲間を全否定させたりして自我を崩壊させることで、自分たちに都合の良い思想や考え方を吹き込むのが、昔からある洗脳手法です。
実際にテロ集団や犯罪に走った組織はこの手を使って、人間を戦闘マシーンや犯罪マシーンに改造しています。犯罪でもあるこうした異常な刷り込みによって「成果が出た」「怒ることは愛情」のような身勝手な評価で自己正当化をしている経営者こそ、喜んで社員にハラスメントを働いている責任者であると考えるべきでしょう。
就活学生はブラック企業を恐れます。一番見分ける方法は、その志望先企業がこのような「寝かさない・仲間の悪口を言わせる・怒鳴る・泣かせる研修」をやっているかどうかです。社員をマシーンとしてしか見ていない会社に入りたくなければ、ぜひ説明会のような公の場で質問してみてはいかがでしょうか。
洗脳の最後には報酬が待っています。「極限まで否定して人格を破壊した後、褒める」ことで、間違った快感信号を埋め込み、すべてを正当化できるのです。鬼研修の最後に笑ってうれし涙で迎えるハッピーエンドは、すべて計算し尽くされた改造手法なのでした。(増沢 隆太)
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