なぜ吉野家は「炎上3連チャン」をやらかしたのか わずか1カ月半の間に:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
お客様相談室長、常務取締役、採用担当者――。吉野家の炎上が止まらない。わずか1カ月半の間に、なぜ「3連チャン」をやらかしたのか。その背景に何があるのかというと……。
お客様相談室長、常務取締役と続いて、今回は採用担当者が炎上するという事態を受けて、店舗で接客にあたるスタッフの皆さんは、きっとこんな風に感じているのではないか。
「現場に店長研修だ、バイトの研修だとかやらせる以前に、まずは本社の人間をちゃんと教育してくれよ」
この1カ月半の間で、世間を騒がせる「失言炎上」を3連チャンしている吉野家のことである。
最初の炎上は3月23日、ポイントを集めれば、丼にどんな名前も入れてくれるというキャンペーンの条件を突然、「実名のみ」に変更したことで参加者から批判が高まっていた中で、お客様相談室長がファンの1人に「訴訟をされるなら弊社弁護士が真摯に対応させていただきます」などと挑発的な文面を返信。「なぜかとてもケンカ腰でびっくり」とファン側がSNSでスクショ投稿して大炎上、吉野家は謝罪に追い込まれた。
2番目の炎上は24日後に起きる。4月16日、常務取締役が早稲田大学の社会人講座で、若い女性に牛丼好きになってもらうマーケティング戦略を「生娘をシャブ漬け戦略」と呼んで日本中が大騒ぎになった。吉野家は謝罪して、この常務を解任・契約解除もして火消しに奔走したが、新商品のCM発表会がパアになり、株価にも影響を与えた。(関連記事)
そしてこの17日後、今度は採用担当者がやらかしてしまう。吉野家の採用説明会に参加を希望していた大学生に対して、なんの確認もせずに外国籍だと決めつけて「就労ビザを取るのが難しい」などの理由で、説明会参加お断りのメールをしてしまうのだ。
5月3日、この学生がSNSで担当者からのメールのスクショとともに「ハーフだけど日本生まれ日本育ち国籍日本なのに」「倒産しろまじで」と怒りをぶちまけたことで、3度目の炎上となってしまったというわけだ。
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