ハンバーガー店が増えすぎている!? 激戦区「渋谷」「吉祥寺」で見た“淘汰”の兆し:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
コロナ禍の影響で、ハンバーガー店への新規参入が相次いだ。競争が激化した結果、淘汰されるケースも。激戦区である渋谷と吉祥寺では何が起きているのか?
激戦区の吉祥寺
吉祥寺のハンバーガー店事情をもう少し詳しく見てみよう。
もともと、コロナ前から吉祥寺のハンバーガー店は飽和気味だった。電車やバスを使って観光やショッピングに来る人によって、店の経営が成り立っている側面があった。郊外の吉祥寺の繁華街は都心部に比べればコロナの影響は薄かったものの、JR、京王井の頭線の1日当たりの乗降客数は合わせて、コロナ前の19年度には40万人を超えていた。しかし、20、21年度には30万人程度にまで落ち込んだ。つまり、4分の3になっていた。来街者数も当然、落ち込んでおり、ハンバーガー店を含む飲食店の売り上げに悪影響を与えている。
前出の22年4月に閉店したファッツ・ザ・サンフランシスカンは、11年に東京・高円寺で創業。米国人オーナーによる本格的なハンバーガーが食べられる店として人気を博し、18年に吉祥寺の井の頭通り沿いにある南欧風のおしゃれ感ある商業ビルに移転してきた。移転前はカウンターだけの狭い店だったが、席数も30席ほどにまで拡張されて勢いを感じさせた。
米国南部発祥のBBQ料理、プルドポークのハンバーガーは、同店でこそ出せる本場の味とハンバーガー通からの評価も高かった。閉店が惜しまれる。
同店から歩いて1分以内には、ハンバーガーに定評がある「ヴィレッジヴァンガードダイナー」という強い競合店がある。
それだけでなく、新しい環境の変化もあった。今年2月、南口に隣駅の西荻窪からハイスコア バーガーケードが移転してきた。レトロなアーケードゲームで遊べる斬新なハンバーガー店として、特にランチタイムは人気になっている。
また、やはり同店のすぐ近くに、「バーガー喫茶 ちるとこ」が5月1日にオープンしている。東京・蔵前の人気ハンバーガー店の2号店で、クラフトコーラを売るなどドリンクも変わっている。
北口のアーケード商店街、サンロードの北端にはモスバーガーがあるが、その隣にチキンバーガーを提供するラッキー ロッキー チキンが21年10月にオープン。
さらに、目と鼻の先の五日市街道沿いに、ワタミが展開する韓国チキン「bb.qオリーブチキンカフェ」が21年11月にオープンした。同店でも、チキンバーガーが売りの1つとなっている。
このように、コロナ禍以降に吉祥寺には、新勢力のハンバーガー店がどんどん増えているのだ。
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