SDGsを発明した人は本当に頭がいい、皮肉な理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
ここ数年、「SDGs」(持続可能な開発目標)を耳にすることが多くなった。17の目標はどれも必要なものかもしれないが、実践することによって日本はどのようなメリットを手にすることができるのだろうか。
多くの日本人を飢えさせる
もし事実なら「SDGs」なるものを開発した人間は、本当に頭がいい。誰も反対できないような美しい言葉を並べて、世界各国が協力をせざるを得ない状況になっているが、その恩恵があるのは一部の国だけ。実に巧妙な仕掛けだ。
そこで池田氏はこの皮肉な構図を、「地獄への道は善意で敷き詰められている」という英国のことわざに喩(たと)えている。日本の場合、「地球のため」「未来のため」と張り切れば張り切るほど、破滅の道へと突き進んでいくというのだ。
その最たるものが、「太陽光発電」だという。再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」が導入された10年前から全国の農地がまるで「オセロ」のようにパタパタと太陽光パネルに塗り変わっている。
自治体や地主もハッピー、再エネ企業もハッピー、SDGsの目標達成に近づくので政府もハッピーという「3方よし」ということで、まさにSDGsを代表する取り組みなのだが、生物学者である池田氏によれば、日本でこれを推進することはまったく「エコ」ではなく、むしろ多くの日本人を飢えさせることにもつながる恐れがある「環境破壊」だという。
『ソーラーパネルを地面に建てて、そこで太陽光エネルギーを奪っているわけだから、その下の地面にはそのエネルギーがいかない。これまでそこで生きていた生物は光合成ができないので死に絶える。当然、それを食べていた生物にも影響が出る。周辺の生態系も壊されていく。
それに加えて、一度ソーラーパネルを設置した土地を再び農地として使うことは、かなり難しいのだ。太陽エネルギーが届かないわけだから、土壌のなかにいる微生物などにも悪影響があり、農作物を育てる栄養素もなくなってしまう。その土地はいわば「死んだ」ことになる』(P87)
実際、この池田氏の主張を裏付けるように、「全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山、田んぼは埋まった」(毎日新聞 21年6月27日)のような形で、太陽光発電の自然破壊が問題になっているのだ。
日本の食料自給率は37%程度と他国と比べて圧倒的に低い。国際紛争でシーレーンが破壊されて輸入ができなければ、多くの日本人は飢える。そんな国が「もっと地球に優しく!」なんて叫びながら、ソーラーパネルで国土を破壊している様は、確かに「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉にピッタリだ。
ついでに言えば、日本のメガソーラーで多く使われるのは中国製の太陽光パネルだ。この分野は中国が世界でシェアナンバーワンだからだ。ご存じのように、中国は自分たちは途上国なのでSDGsなんて関係ないというスタンスなので、火力発電をフル稼働して、太陽光パネルを大量生産しながらバンバンCO2を排出している。
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