「天下一品」が大好きな小学生の折り紙は、なぜ社長に届いたのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
ラーメンチェーン「天下一品」の店舗に、男子小学生から折り紙が届いた。その男の子は病気と戦っていて、大好きな天下一品に作品を送ったというのだ。同社の社長は小学生と面会する予定だが、この話をどのように受け止めた人が多いだろうか。SNS上でも話題になっていて……。
驚く話ではない
外食チェーンで働いたことのある人ならばお分かりだろうが、現場の店舗では毎日、客からさまざまな声が寄せられる。「前は好きだったが味が変わった」「店員の接客が悪い」などクレームのようなものもあれば、今回のような嬉しい声もある。
もちろん、それらのすべてを社長はチェックしている。……という建前にはなっているが、グループが大きくなればなるほど、現実的にはすべてを把握するのは不可能だ。現場スタップから店長、店長から地域のリーダー、そして本社の管理部門、経営幹部という感じで、経営トップにいたるまで膨大な数の人間がかかわっているので、途中で「社長にわざわざ報告するほどの話じゃない」と片付けられてしまうことも少なくないのだ。
天下一品もグループ全体で231店舗(2022年5月現在)を展開している。それだけ多くの店舗から売り上げや顧客の反応など膨大な情報が毎日上がってくる中で、「小学生の折り紙作品」という話が、ちゃんと社長のもとにまで届くのはかなり「いい会社」じゃないかというのだ。
ただ、個人的にはそれほど驚くことではないと思っている。天下一品は、他のラーメンチェーンとは一線を画する「ファンマーケティング」に力を入れている企業だからだ。
と聞くと脊髄反射で、「せっかく心臓病の小学生と社長との交流をそんな話にするのは寂しすぎる」的なことを言う人たちがいるので、あらかじめ断っておくが、筆者は今回のニュースが天下一品側のマーケティングだとか、イメージアップにつなげる戦略だと言いたいわけではない。
ファンの言葉に耳を傾けて、ファンの言葉でさらにファンを増やしていこうというファンマーケティングを日頃から実践されている会社なので、ファンの詳細な情報も「上」にあがりやすい。だから、山口県の小学生からの寄贈品がエピソードとともに、木村社長のもとに届けられるのも納得だと言いたいだけだ。
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