「天下一品」が大好きな小学生の折り紙は、なぜ社長に届いたのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
ラーメンチェーン「天下一品」の店舗に、男子小学生から折り紙が届いた。その男の子は病気と戦っていて、大好きな天下一品に作品を送ったというのだ。同社の社長は小学生と面会する予定だが、この話をどのように受け止めた人が多いだろうか。SNS上でも話題になっていて……。
ファンマーケティングに注力
それを象徴するおが、自社で立ち上げている「天下一品メディア」というサイトだ。その中には天一ファンの有名人を紹介した「天下一品lovers」や、ファンの「ファンミーティング」というコーナーがあって、グルメユーチューバーのレポートなども紹介している。
YouTubeも同様で公式チャンネルを設置して、天一ファン歴30年以上のミュージシャンSUGIZOさんと創業者・木村勉氏の対談など、ファン目線の情報発信をしている。
そのスタンスはデジタルだけではない。ラーメン二郎など人気ラーメン店ではファンたちが勝手に集まってイベントを催す「非公式なファンの集い」は珍しくないのだが、天下一品では19年からオフィシャルの「ファンの集い」を開催しているのだ。
例えば、19年2月に天下一品高円寺店で催された「天下一品ファンの集い 2019 vol.1 in 高円寺」は限定30人という限られたキャパだったが、木村一仁社長も参加した。参加申し込みをする際には、「天下一品に対する思い」「当日イベントでやりたい事・またやってほしい事」などファンの声に耳を傾ける気マンマンなのだ。
また、21年11月に創業50周年を記念して出版された『深くてこってり!愛されて50周年 天下一品Walker』(KADOKAWA)も分かりやすい。このムックで最もページが割かれた特集は、「SUGIZO、純烈、チュートリアルなど天下一品を愛する101人からのラブコール」で、さまざまな分野で活躍する著名人ファンの天一愛が存分に語られている。
このように天下一品というのは、ラーメンという職人気質の訴求が強い世界では珍しく、ファンマーケティングに非常に力を入れている。ということは、全店でファンに関する情報は大切に扱っていて、経営トップのもとに届けられていてもおかしくない。だから、今回のような小学生ファンの折り紙が社長のもとに届けられ、スムーズに面会まで実現することができたのではないか。
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