SDGsとDXの関係は? 企業が取り組む知られざるメリットと実現のために求められる意外なスキル【後編】:SDGsとリスキリングには、意外な関係があった(2/3 ページ)
現在の専門性に新しいスキルを足すことで変化に適応する「リスキリング」が注目されている。SDGsへの取り組みを推進した結果リスキリングを余儀なくされるケースもある。なぜ、リスキリングが必要なのか、前向きに取り組むにはどうしたらよいのか。そして、それらを踏まえて企業がSDGsに取り組むメリットについて、パーソルイノベーションの柿内秀賢氏に聞いた。
DX人材の不足も、リスキリングの必要性を高めている
リスキリングが求められているもうひとつの理由が、DX人材の不足だ。企業のDXを主導できる専門性を持った人材はきわめて限られており、簡単には採用できない状況となっている。そこで、自社内で必要に駆られて人材を育てるというケースが散見される。
そして今、企業では“より成果につながる”形で業務にITを活用していきたいという意識が高まっているという。例えば、単に業務の基幹システムなどを作って業務効率化を図るためだけではなく、企業の課題解決やSDGsに貢献する事業につながるようなITの使い方をしたいというニーズが生まれているのだそうだ。
その結果、これまではどちらかというとバックオフィス的な位置付けだったIT部門の人材に、SDGsやDXの知見を持ち、ビジネスをリードしていくことが求められるようになってきた。そこで必要となる新たなスキルを身に付けるために、リスキリングが必要となる。
「学び直しは面倒」? ポジティブな気持ちでリスキリングに取り組むには
しかし、誰もが最初からポジティブな気持ちでリスキリングに取り組めるわけではない。特に、これまでとは全く別の部署へ異動を命じられた場合、「飛ばされた」と受け取る人もいるだろう。柿内氏が事業責任者を務める「学びのコーチ」では、そこに伴走し、リスキリングに必要なスキルセットとマインドセットを身に付けていくためのサポートを行っている。
「キャリアというのはとても繊細で、人によっては精神的なダメージが伴います。畑違いの部署への異動なら、なおさらでしょう。でも、新しいフィールドで能力を発揮しなければならない場合でも、その人のこれまでのキャリアの中で、何かしらそこに関係する経験はあるはずです。仮にDX推進部署への異動であれば、前部門での不満……例えばアナログな業務に無駄を感じた、自動化できるであろう仕事に追われ、コア業務に取り組む時間がない――などなんでもいいのですが、そういった経験からDX推進を自分事化して取り組めるテーマを見つけることができるかもしれません。私は、『学びのコーチ』を通じてその人なりのストーリーを見つけ、腹落ちした上で新たなスキルを獲得するための学びに取り組めるように支援しています」(柿内氏)
現在は、未来の予測が不能であることを意味する「VUCA時代」といわれている。SDGsやDXだけではなく、企業に求められる役割や目標は今後もめまぐるしく変化していくことが予想でき、それによって業態がガラリと変わってしまうことだって起こりうる。そのようなときに、新たに求められるようになったスキルの獲得に嫌々取り組むのではなく、自分にとって意味があるものだという意識で学ぶことができれば、変化した環境で意欲的に活躍できる人材として成長できる可能性があるのだ。
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