『地球の歩き方 多摩』が人気! 売れたのは“たまたま”ではない理由:水曜日に「へえ」な話(4/4 ページ)
『地球の歩き方』が話題になっている。2020年に『東京』を出したところ大ヒット。今年の3月に『多摩』出したところ、これまた大ヒット。スマホの普及によってガイドブックは苦戦が続いている中で、なぜ人気を集めているのか。編集者に聞いたところ……。
地球の歩き方の歩き方
さて、話はちょっと変わるが、『地球の歩き方』はここ数年、攻めに攻めていることをご存じだろうか。『東京』『多摩」だけでなく、「図鑑シリーズ」も話題を呼んでいる。例えば、『世界のすごい巨像』では、世界中にある巨象をこれでもかこれでもかと掲載していたり、『地球の果ての歩き方』では、地理上の「端っこ」に絞って紹介していたり。いずれも見ていて、じわじわくるものがあるのだ。
このほかにも紹介しきれないほど、たくさんの本を出している中で、最後にどうしても避けては通れない話がある。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のコラボ本だ。タイトルは『ジョジョの奇妙な冒険』なので、そのままである。
作中に登場する名所などを紹介するだけでなく、ジョジョの世界観をたっぷり味わうことができるような工夫を凝らしているそうで。発売日は7月14日。Amazonをみると、予約を受け付けていて、すでにカテゴリーで1位となっているではないか。「過去、経験したことがないくらい、書店さんからの問い合わせがきている」(編集部)そうだ。
コロナの感染が広がって、経済的に苦境に立たされた会社は多い。『地球の歩き方』編集部もその一つで、一時は“自分たちの歩き方”を見失っていて、次の一歩をどのように踏み出せばいいのか、模索していた(例えば、2021年1月、『地球の歩き方』などを発行していたダイヤモンド・ビッグ社は、学研プラスに事業譲渡した)。
『東京』『多摩』が売れた、『ジョジョ』も予約がたくさん入っている――。とはいえ、喜んでばかりはいられない。「本がなかなか売れない」という状況は30年ほど続いているし、「ネットがあれば、ガイド本なんていらない」という意見も少なくない。他社の話になるが、ガイドブックの売り上げが苦戦していて、リストラに踏み切ったところもある。
逆風がびゅーびゅー吹き荒れている市場で、“地球の歩き方の歩き方”は何かの参考になるかもしれない。
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